君の名前にアンダーライン

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「でさ、雷蔵ったら毎日表情筋だらっだらなんだよ!しかも部活のときまで!」
「…大変ですね。あの私そろそろ用事があるので図書室閉めますけど…」
「え〜まだ話し足りない!用事ってなに?」
「そんな大したことではないんですが」
「じゃあ待ってるから一緒に帰ろう!俺たちみんな暇だし」


あ、雷蔵以外ね。


付け足された言葉にあー…と苦い声がでる。
意識はなかったにしても未だ引きずっている。
むしろ無意識だったからかもしれない。なかなか断ち切れない。


「尾浜先輩の迷惑にならないならいいですけど」
「全然迷惑じゃない」


即答…。
尾浜先輩なんかたまってんのかな。


「愚痴聞くくらいしか出来ませんよ」
「充分!」


にこにこ楽しげに笑う先輩を見て私も自然と口角があがる。
尾浜先輩は天使だなあ。

「そういえば三郎もいるけどいい?帰りいつも一緒なんだ」
「いいですよ。さっきも言ったんですけど先輩方が良ければ私は全然」
「んー大丈夫!じゃあ昇降口で待ってるね。」


よくわからない約束をして、私たちは図書室をでた。
私は階段を2階分急いで降りる。
ついたのは用具倉庫前。

「遅れてごめんね」
「図書当番おつかれさまです」



剣道部(マネージャー)と美化委員と体育祭実行委員会を掛け持ちしている超人伊助くんと約束をしていたのだ。
体育祭実行委員会は各クラス1人人員を派遣しなければならない重労働な期間限定委員会である。
そして私のクラスの体育祭実行委員会の子が色々とあり委員会をぬけないといけなくなった。
そこでそこそこに暇な私が代わりに引き受けることになった。
そして今にいたる。


彼のほうは何故体育祭実行委員会に籍を置いているかというと、美化委員委員長代理である久々知先輩がいるから、だそうだ。
どこまでも従順な先輩愛である。
私には真似できない。


「もうすぐ久々知先輩いらっしゃるのでちょっとまっててくださいね」


見上げられ私は思わず鼻を手で覆った。
は、鼻血でるかと思った。
なんで1年は組はこんなに私の急所をおさえてくるの…。


「ごめん!待ったか?」
「竹谷先輩!」


私が1人でにやにやしていたら誰かがこちらに来た。

高校2年生の人気者、竹谷八左ヱ門先輩。
確かこの人も体育祭実行委員会だったっけ、

「あっお前!三郎たちと仲良いやつだよな」

指を指された。
不躾な、と思ったがもちろん言わない。

「?、人違いじゃないですか」

「そうなのか?三郎が美覇がどうの、雷蔵も美覇ちゃんがどうのって言ってたぞ。」

あらら私ってば有名人、じゃなくて。
嬉しいような嬉しくないような。
誰しも人気者に好かれるのは嫌じゃない。
でもなにを話されているのか気になる。怖い。

「よーし、取り敢えず作業始めるか!」

私たちが作業を始めてすぐ久々知先輩が来た。
だけど2人とも用事があるとかで途中帰宅してしまい最終的に私と伊助くんで作業した。

作業が終わると伊助くんが一緒に帰りませんかと誘ってくれた。
しかしさすがに先輩の誘いを断って大好きな後輩を優先するのは人間として駄目だろう。

伊助くんを傷つけないようにやんわりと断ると何かを察してくれたらしく頑張ってくださいと言われた。


…まったくその通りだ。

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部活のくだりを書き直ししました。



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