緋色の告白
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01生きる心臓
私の手は異形だ。
人は皆そう言う。
彼らは考えたことがないのだろう。
これが、ある世界では普通だということを。
私は純血の魔女である母とゴブリンの父の間に生まれ、2人ともグリンゴッツで働いていたためよくそこで遊んでいた。
顔こそ人間よりだが手は完全にゴブリンで身長も同じ歳の子と比べるとやはり小さかった。
だからかグリンゴッツのゴブリンたちは私を仲間として受け入れてくれたし可愛がってくれた。
人間に対してキツくなってしまうのはむこうが勝手に私たちの自由を奪い勝手に差別しているからだと皆口をそろえて言った。
へぇそうかと聴いていたものの私は幼い頃人間をよく知らなかった。
皆が悪くいう魔法使いもグリンゴッツで働くある程度偏見のない人しか知らなかった。
ゴブリンとして毎日をすごしていた私にはとりあえず人間は嫌な奴という認識だけがあった。
そんな私が本当に人間はひどく差別色のつよい生物だと知ったのはホグワーツに入学してからだった。
ホグワーツに入学すると私はグリフィンドールに選ばれた。
最初の宴はとても楽しく過ごせた。
人間は、魔法使いは、皆がいうようなものじゃないと素直に思った。
だが次の日からの扱いはその日とは雲泥の差だった。
どうしたことだろうか、皆が私のことを軽蔑の目で見る。
どうして、私は魔女なのに。
そう…数歩譲って純血じゃないとしても半分は人で半純血。
なのになんでくすくす笑うの?
私はそれにたえられなくて1年生のある日からひきこもってしまった。
教授たちは私に気を遣ってか個人で授業をしてくださるようになった。
3年生になったある日、私は禁じられた森の近くを歩いていた。気が向いたから、外に出たのだ。
その日が休日だったのもたまたま。
箒に乗ってあてもなくふらふらと森の上を飛び回る。
「ねえ!君、クィディッチ一緒にやらない」
急に下から声をかけられた。
それが私とチャーリー・ウィーズリーとの出会いだった。
それから私たちはたまに会ってはクィディッチ(母からの受け売りばかりだが)の話をし、いつのまにか授業にも出られるようになっていた。
クリスマスには自宅のクリスマスツリーの下にいつもより多いプレゼントがあった。
もちろんチャーリーからだ。
箱を開けるとクィディッチ用の手袋が入っている。
言葉にできないほどの幸福感に包まれたのを覚えている。
初めて、ホグワーツに入って良かったと思えた。
ようやく私の魔法使いとしての人生は動き出したんだと思った。
私はチャーリーに百味ビーンズとゾンコの悪戯用品を贈ったことをちょっぴり後悔した。
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