緋色の告白
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11あなたのために祈るのに
「レディーミョウジ、こちらの方をご案内しなさい」
「はい」
グリンゴッツ銀行で職場体験というなの手伝いをしている私のところに、見知った顔が私の父に連れられてきた。
「ビル!まだこっちに居たのね」
「居ちゃ悪かったかな」
「違う違う、そういう意味ではないの」
チャーリーに言われてからビルを変に意識してしまう。
あー、もう。
いやいや。
「今日はビルのところに行けばいいのかしら」
「いや、今日はこいつの用事で来たんだ」
ビルが手招きした先からかけてきたのはビルによく似た少年だった。
「フレッド、お前は母さんとだろ。ジョージ、こっちだ」
その少年は悪戯がばれたときのような笑顔をみせて元いた場所に戻り違う子が代わりにこちらに走ってきた。
「…さっきの子とそっくり」
「ああ、双子なんだ。こっちがジョージ、さっきのがフレッドだ」
「私はナマエ・ミョウジ。よろしくね、ジョージ」
手を出すと1度だされた手は引っ込められてしまった。
きょとんとしているとビルがジョージに私が小鬼とのハーフなんだと説明していた。
そうか、忘れていたけどこれが普通の態度なんだった。
「ごめんなさい、驚かせたよね」
ジョージはふるふると首を横に振る。
その姿があまりに可愛くて気がつかないうちに頭を撫でていた。
「こんなことしてる場合じゃなかった!案内しなきゃね」
私はカンテラを片手に2人をトロッコに乗せた。
「楽しかった?」
「うん!」
ほんの少しだけグリンゴッツの中を探検させてあげるとジョージはすごく喜んでくれた。
ホールに近付くとビルはジョージをそこにいた赤毛の集団へと走らせた。
「髪留め、使ってくれてるんだ」
「えぇ。綺麗だから使わないと勿体無いもの」
「やっぱり似合うね」
「ありがとう」
いつから気付いていたのかビルが髪留めを指で指す。
どうしてビルの口からはこうもスルッとほめ言葉が出てくるんだろう。
さすが、ホグワーツ1モテてた男。
「お世辞だと思ってる?」
返答に困り口を開いたり閉じたりしていたらビルが笑い出した。
「ごめんごめん、面白そうだったからつい。やっぱり期待をはずれさせないね」
「ちょっと、それどういう意味!?」
「そういう意味さ」
いつも一歩前を行くビルにはかなわない。
丸め込まれて終わり。
いつかは私もビルをあっと言わせてやりたいものだわ。
「そういえば今日チャーリーは…」
そう言った瞬間に赤毛の集団にいた本人にウィンクされた。
いらぬお世話よ!と顔を背ける。
ビルはチャーリーと私のやりとりを楽しげに見ていた。
貴方のことでもめているっていうのに…!。
お気楽でございますわね。
私はそこでウィーズリー家に挨拶をしてから別れた。
モリーさんとアーサーさんは私の思った通りの人だった。
子供想いな優しくも厳しい理想の両親。
2人とも陽気な人だった。
初対面だったのはその2人だけではない。
パースより下の子たちには今日初めて会った。
フレッド、ジョージ、ロン、ジニー。
皆可愛かった。
一生抱きしめられる程度には。
フレッドとジョージは自ら頬にキスしてくるたけどロンは私が笑っただけで顔を真っ赤にさせて思わず抱きしめてしまった。
ジニーは男の子ばかりの中で女の子しかも末っ子、甘やかされてきたのだなあと良い意味で思う余裕があった。
将来どんな子になるかとても楽しみだ。
別れ際ビルが私に紙切れを渡してきた。
皆が居なくなってから読んでみると、お兄ちゃんは心配性なのがよくわかった。
そして弟たちを溺愛しているらしい。
「学校での弟たちの様子を手紙で教えて、かあ」
これはチャーリーに見つからないようにしなければ。
…またなにを言われるかわからない。