緋色の告白

□14
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14やるせないなあ


「もう、なんであんな見せつけてくるのよ!」

「仕方ないだろ、あいつ絶対ビルのこと好きだし」

「言われなくともわかるわよ!」


私はウィーズリー家の階段を上りながら怒りを露わにしていた。
チャーリーはそんな私を呆れたような楽しんでいるような表情で見ている。


ことの始まりは学生最後の夏休み、残すところ2週間になったときに来たチャーリーの手紙だった。


『よければ最後の1週間、うちに遊びに来ない?ビルもいるし』


もちろん返事は'Yes'以外にない。
チャーリーやパース、フレッド、ジョージとも一緒に過ごしたいのはもちろんロンやジニーとも遊びたい。
あとビルともたくさん話したいことがあるしね。


そう思って楽しみにしていたのに、来てみたらソファに座り女の子といちゃつくビルが1番に目に入った。

ビルは私の顔を見るなりその女の子を近所の子だと紹介した。
ソファにそんな至近距離で座っていたのにただの女の子と言えるのか。
いや言えないに決まっている。
しかも綺麗な茶髪の彼女はどう見たって彼女ヅラをしていて否定するビルが不自然なくらいだ。


2日目の今日も朝からリビングで仲良くやっている。
苛々しながら階段の隙間から下を見る。
ビル、あんな笑顔私にむけたことあるかしら。


「気にするのは勝手だけど、こうなってるのは自分のせいだってことも忘れるなよ」

「そうよね…って私は好きじゃないと何度も言ってるじゃない」

「じゃあその怒りはどこから来てるか、わかるか?」


前を歩いていたチャーリーが踊場で足を止めて私を真っ直ぐ見た。
私は何も言えなくて押し黙る。
仕方ないとチャーリーが口を開く。


「嫉妬だ」

「自分の気持ちを認めているからこそそうなるんだろう」

「それでもまだ認めないなら俺はもう何もしないし言わない」

私がまた押し黙っているとチャーリーはため息をついてからまた前を向いて階段を上る。
私は口より手が先に出る質らしくすぐにチャーリーの腕を掴んで彼を止めてしまった。

自分でも理解しきれていない自分の行動だったがチャーリーが振り向いてしまった今引き返すことはできない。

「私…彼のこと好きだと思う」


チャーリーはにやりと笑って私の後ろを指差した。
その指にそって後ろを見る。
私は思わずチャーリーに飛びついてしまった。
チャーリーは笑いをこらえながら私の背中を優しくさする。


「誰が好きなのか詳しく知りたいな、ナマエ?」


素敵な笑顔のウィーズリー家の長男が立っている。
聞かれた、その事実に私の心臓は大きく跳ね始めた。
名前を言わなくて良かったと心底思う。
誤魔化すために平然を装いビルに自ら話しかけた。


「ビル、あの子はいいの?」

「帰ったよ。用事があるんだって。あとチャーリー、双子たち連れて庭小人投げてきてくれって母さんが」

「ふーん、了解」



チャーリーについて行こうとしたらビルが私の肩に手を置き、逃げ場はなくなってしまった。
そして次男坊は私にウィンクして双子の名前を呼びながら階段を下っていった。


嵌められた。
そう言ったところで時すでに遅し。


「で、誰?」


有無を言わせない笑顔で私を見るビルに私は苦笑でかえす。


「私、チャーリー以外には教えないって決めているのよ。だから、」

「俺に言えないってことはうちの誰かだな。チャーリーは除くとして、パース、ジョージいやフレッドか」

「ビル、そういう詮索はよくないと思うわ。もうこの話は終わり」

「俺は終わりにしたくない」



私の肩にビルの爪が食い込む。
彼には珍しくねちっこい。
こういう話好きなようには見えなかったけど。
苛々する。
ほかっておいてほしいのに、それには触れないでほしいのに。
どうして貴方は無理矢理にでも触れるのかしら。


「ビル、私は貴方の命令になんでもはいと答える屋敷しもべじゃないわ。私にも話したくないことや対象がいるの」

「これ以上貴方に言うことはない」


ビルの腕を払って私は階段を駆け下りる。
ついかっとなってしまったことは反省しよう。
でも誰にだって踏み込んでほしくない領域がある。
私は間違っていないはずだ。



ビル、私のこと嫌いになったかな。



とりあえずチャーリーに相談しましょう。
ため息をつきながら私は外に出た。




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