緋色の告白

□(19)
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(19)崩壊の合図を耳にする

「誤解が解けただけ良かったな、ビル」

「まあね」


彼女がダイアゴン横丁のグリンゴッツ銀行へ行っている間、俺とチャーリーはアイスクリームパーラーへ来ていた。
もちろんチャーリーが話題にしてきたのはこの前のことだ。
俺がミシェルと付き合っていないことを伝えただけの何の進展もない物だった。
このままいったら何の発展もなく俺とナマエは生きることになるんだろうな。

「俺はビルとナマエ、お似合いだと思うよ」

「どっちも子供っぽくて」

そんな理由かと椅子からずり落ちそうになった。
チャーリーは真面目に言っていたらしくそんな俺を見て首を傾げる。
だけどすぐに俺の心情を読みとったチャーリーは独特の男らしい笑いを見せた。

「嘘じゃないし本当にそう思ってるでも、ビルがこのまんまなら奪われちゃうかもな」

「ホグワーツには男なんてごまんといるんだ」

「そうだね。でも俺も今一歩彼女を好きかわからないんだよ」

「そんな曖昧なこと言ってるともしかしたら俺が奪っちゃうかもよ」


最後の一言をきいてチャーリーを見るがいつもどおり美味しそうにアイスを食べるだけだった。
今のは幻聴かなにかだろうか。
チャーリーはそれ以上何も言わず黙々とアイスを食べ続けるばかりでこちらも何も言えなかった。


「2人ともお待たせ!モリーさんたちと合流して教科書買いに行きましょう」


久しぶりに両親に会ったからか見たことのないはちきれんばかりの笑顔でナマエが帰ってきた。
そんな彼女にチャーリーは残ったアイスを食べさせ俺に笑顔をむける。
これは宣戦布告と受け取って良いのだろうか。

「最近気付いちゃったんだ、俺割と本気だから」


彼女の背を押してさっさと店から出て行こうとするチャーリーを慌てて追いかける。
おいおい待ってくれ。
展開についていけないよ、お兄ちゃんは。

前々から思ってたけど2人は周りから見れば立派に恋人同士だ。
今までくっつかなかったことのが不思議なくらい。
それは何故かがわかった気がした。
チャーリーは本当に最近わかったんだ。
鈍いってのも罪だな。
この前まで中途半端な俺を応援してたってのに。
でもまたなんで急に…?


疑問に思いながら歩いていると彼女が先を歩き俺とチャーリーは横に並ぶ形になっていた。

「チャーリー、急にどうしたんだ。何かあったのか」

「さあね」

あいつは俺にウィンクをして(需要も何もないな)彼女の隣へ走っていった。

いつのまにか1人の男になった弟に感心して良いのか、ライバルが増えたと嘆いたらいいのかよくわからない。
とにかく今は様子見ってところかな。
大人の余裕というやつさ。


と言いつつ、前に並ぶ2人を見守るのは何とも言い難い心情だった。
俺も学生2人に弄ばれているようじゃまだまだ子供だな。


ふう、と一息吐いて落ち着いてみたが状況は何一つ変わらない。
面白いくらいにね。
ところで本当にチャーリーには何があったんだ。
神のお告げか?
この前のレイブンクローの女子生徒はどうなった。
誰か詳しく教えてほしいところだ。



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