時の歯車

□"海族"ロベルト
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〜今日からあなたも
ロベルト集団の一員です〜
by.ロベルト一同




『時の歯車』

見渡す限りの、青い海。
見上げれば雲一つない空。
そんな青の中に、一艘の海賊船の姿があった。
いや、"海族"というのが彼らの言葉だ。


この世に存在する、不死の泉の在り処を知る、伝説の生き物ダイアナと・・・
これまた伝説と言われる、救神者の少女を、守っている。

宝物を奪ったり、町を襲う海賊とは全く逆。


自称海"族"の彼らは、ロベルト集団と名乗る、8人と1匹の騒がしい集団だった。


のんきなリーダーを始め、皆が日々平和に暮らしていた。
そう、あの事件が起こるまではー・・・。





その日も、いつもと何も変わらぬ朝だった。
船の二階の個室で、少年シャンは目を覚ました。

白っぽい金髪が、窓から差し込む朝日に照らされる。
澄んだグリーンの目は、その眩しさに細められた。

シャン「6時か・・・」

シャンは時計に目をやると、ガバッと起き上がって着替えを済ませ、のたのたとした足取りで一階へ降りた。


「シャン、おはよう」
シャン「・・・はよ」

一階の食堂へ降りると、長いテーブルを拭いている女性が、爽やかに声をかけてきた。

「今日、早いじゃない」
シャン「ん、オレ今日カモメの餌やりの日」

シャンが早起きの理由を述べると、女性は「あぁ、そっか」と呟いた。

更に早起きの女性は、朝食当番なわけだ。

「アンが当番だと、ほっとするよ」

シャンが言った。この女性ー・・・アンは、ロベルトの中では1番料理が上手い。
いや、恐らく一般的に考えても、とても上手い方だ。
すらりとした長身に金髪のショートヘアは、できる女を連想させる。
髪の間からは、キラリと光る赤いダイヤ型のピアスが覗いていた。


アン「あら、そう?」
シャン「そーだよ。最近、まともな朝食じゃなかっただろ。ほら・・・
昨日は朝から味のない牛丼で、おとといなんてジャガイモの皮が浮いた汁だったし」

シャンは、ここ近日の朝食当番が、あまりにも残念なメンバーだったことを思い出させた。

アン「まぁ、そうだけど・・・シャン、あなたも人のこと言えないですからね。こないだ粉まみれのホットケーキ作ったでしょ」
シャン「いってきまーす」

シャンは聞かないふりをして、カモメの餌を担いで、船の表に出て行った。

皆が起きてきたのは、それからさほど時間もたたない時だった。
7時も回れば、ロベルトの騒がしい朝食は始まった。
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