時の歯車

□ジャングル
1ページ/15ページ

ウェス「シャン、逃げようよ…?!今川渡っちゃえばさ・・・」
シャン「だめだ。敵に背を向けない。戦いの基礎だろ」
クリス「こんな状態で基礎もクソもないじゃない!」
シャン「二人とも、武器を出せ!」


サルが、地面を引っ掻く手を止めた。


突然、嵐が来たようだった。耳が振るえるほど激しく…辺りの木々がすべてざわめき出した。


ウェス「シャン!見て、あれ!」


激しい轟音と共に、辺りの木々から、毛むくじゃらの黒いサルがどさどさ落ちてきた。


クリス「さて・・・どうする?」


クリスがわざと冷静な声で言う。
サルが集結したらしい。木の葉でいっぱいだった地面が、今や真っ黒に染まった。
てんてんと、不気味に目だけが光る。
三人は、川の端まで下がった。


シャン「クリス…に、ウェス…川を渡れ」
ウェス「えぇっ・・・!?」
クリス「いや。あたしも残る」
シャン「いいから、行けよ。俺にまかせろ」
クリス「ダメよ。馬鹿なことはやめなさい。こんな数…」
シャン「うるせーな。…ラドールがよく言ってんだろ?仲間のためには、生きてるだけでもいいって」


ウ゛ゥゥゥゥゥ・・・!!

突然、一匹のサルが吠えた。
ウェスが、驚いて引き金を引いた。

バ―――ン!!!

コウモリが一斉に飛び立つ。と、同時にサル達の攻撃が始まってしまった。
シャンは剣を振り落す。


シャン「行けよ!!」
クリス「いや!!」


どんどん飛びかかってくるサルに、シャンは刀を振り落した。


シャン「行けっつってんだよ!こんなとこで、てこずってられっかよ!・・・クリスっ…行け!!」
クリス「イヤッ!!」


シャンは、嫌がるクリスを無理矢理押した。
クリスは、反動でツルに捕まり、遠ざかる―・・・


クリス「シャン!!」


クリスの声は、川の音に掻き消えた。
無事に行ったかさえ、シャンには分からなかった。


ウェス「痛いっ!!痛いよ!」


ウェスは飛びかかってくるサルを、両手で振り払おうと躍起になった。
シャンはそいつらを切落とし、ざっと30匹はいそうなサル達を、眺めた。


シャン「ウェス、動くなよ・・・そこに・・・いろっ!」

シャンは、容赦なく飛びかかってくるサルに、突進して行った。



その頃、もう一方の組も、ピンチに当たろうとしていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ