不思議の館

□TRICK-or-TREAT(2)
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ねぇ、先生にお願いです。
今年も約束してるんです。
行かせて下さい。


約束の時間が一刻一刻と、
迫ってきていた。


もう…仕方ないわね。
ほらせっかくの日なのだから、
お行きなさい。


行けないと覚悟していたが
許可を貰ったソンジョンは
心から喜んだ。


そして約束の時間…


ソンジョンは、初めての日、
ソンギュと出会った場所に来ていた。
すると、黒いマントを風になびかせ
ソンギュがやって来た。


よう、久しぶりだな。


久しぶりの再会に、
2人は軽く抱き合った。
そして、ソンジョンは
言葉が詰まるのを抑えながら話した。


この日を待ちわびてました。
本当に会えて嬉しいです。
今回もお願いします。


するとソンギュは微笑み、
ソンジョンの頭を撫でた。


俺も待ってた。
さ、今回は闇の城に行くんだ。
今から行けば間に合うだろ。


そして2人は闇の城まで、
飛んでいった。


闇の城へ着くと、
門番達が仁王立ちしていた。
するとソンギュは門番に声を掛け
事情を話すと、
門番は重たい扉を開けた。


さあ、中へどうぞ。


2人は中へ入っていくと、
フロア先にウヒョンがいた。
笑顔で手を降り、出迎えてくれた。


やあ、久しぶり。
今日は、他にもお客様がいるんだ。
そこへ案内するよ。


ウヒョンの後に付いていき、
ドアを開けると、
数人達が中で遊んでいた。


よく見てみると、
そこには色んなお化けが
それぞれに遊んでいた。


ソンギュと2人でいると、
誰かが気付き合図したのか
振り向いてすぐ駆け出して
やって来た。


久しぶりだね!覚えてる?
ソンヨルだよ!


ソンヨルはソンジョンに、
思い切り抱き付いた。


覚えてます!
ずっとずっと会いたかったんです。


お互いに手を取り合って、
その場で騒いでいた。


そこへ、邪魔に入るように
ホヤが声を掛けた。


よぉっ!久しぶりだな〜!
初めて会った時は、
驚いて尻もちついたっけ。


ホヤがイタズラに笑うと、
ソンジョンは顔を赤らめて
苦笑いした。


ホヤさんお久しぶりです。
初めて会った時は怖くて…
へへっ、もう大丈夫です。
会いたかったです。


ソンヨルと体を離した後、
ホヤと軽く抱き合った。


しばらく話をしていると、
ウヒョンが食事の時間だと
呼びに来てくれた。


さあ、今夜は
とびっきりのごちそうだよ。
みんな僕に付いてきて。


ソンジョン達は何も言わず
ウヒョンの後に付いた。


さあ、みなさんこちらへ。
どうぞごゆっくり…


扉を開けると、
ほの暗い中キャンドルの灯りが
部屋中灯し雰囲気が出ていた。


席に着くと、
2人分の席が空いていた。
不思議に思うソンジョンは、
ウヒョンに聞いた。


ここの2席、
どなたか予定があるんですか?


するとウヒョンはにっこり笑い、
返事をした。


ここの2席は、
大事な方が来る予定なんです。


そして料理が運ばれ、
準備も整ったその時、
扉が開き空いた席の予約者が現れ、
ソンジョンは喜んだ。


やあ、久しぶりだね。
少し月が隠れるのを待ってたら
時間が掛かっちゃってさ。
ちょうど体が黒いからさ、
エルに付き添ってもらってたんだ。


すると、付き添ったエルが
事情を説明した。


そうそう、森の奥で
ずっと吠えてたんだ。
森の奥まで行ったら、
無理してまでも木陰に隠れながら
街に行くつもりだったんだ。
だから僕の真っ黒な体で
月の光を当てないように来たんだ。


それを聞いたソンジョンは
心配そうに話した。


どうして無理してまでも…
そんな…大丈夫ですか?


ドンウは照れくさくなり、
ごまかした。


へへっ〜大丈夫!大丈夫!
心配ないよ〜


席へと着くと、
話の続きをエルが話した。


照れるからごまかしたけど、
本当はソンジョン君、
君に会いたくて来たんだ。
でね体調の変化でつらいけど、
どうしても…!って。
僕に引きずってでも
連れてってくれって。


事情を聞いたソンジョン、
席を立ちドンウのそばまで行き
目を潤せた。


もう…!無理しちゃダメ…
僕、心配で泣いちゃうよ…
みんなが笑顔で会うんだよ。
つらいのは我慢しないで…
もう…うぅっ…


ちょうどその時、扉が開き
ウヒョンが入ってきた。


どうしたの?泣かないで。
さぁ、ごちそうだよ。
今は泣かないで、楽しんでよ。
笑顔でいなきゃ!


ウヒョンは、ソンジョンの涙を拭い、
背中をさすって頭をなでた。


席に着くと、テーブルにはお肉や魚、
サラダに果物と
数え切れない料理がずらり、
泣く暇もなく並べられた。


さぁ、みんな揃った事だし
盛大に楽しんで!


ウヒョンが一声掛けると、
みんな一斉に料理を取り、
笑顔が溢れた。


僕ね、みんなとこうやって
楽しくしたかったんです。
久々の再会で…嬉しい…


ソンジョンは声を出すなり
また涙を潤せた。そこで、
隣に座っていたソンギュとドンウが
優しく宥めた。


もう…本当、泣き虫だな。
もう泣くな。やっとみんな揃って、
楽しむ時間だぞ。ほら、笑って。


そうだよ!ね?泣かないで。
スマイル〜!
もっと楽しい時間にしないと!


ソンジョンは涙を拭って、
ごちそうを食べ始めた。
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