秘密

□Endless Dream
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マスターは黙ってドアを閉め、運転席に回り込んでハンドルを握った。

「ぁ、ま、マスター!?どうしてですか?なんでレンを…!」

何も返事がない。
俺の声が全く聞こえていないかのようなスルーっぷり。

ドアを開けて降りようと思ったが、ロックが掛かっていて出来なかった。


「マスター!開けてください!俺も降ろして!」


生憎うちの車の後部座席には窓を開けるボタンがなく、全て運転席で操作するようになっていた。


レンの方を見る。
不思議なことに彼はとても落ち着いていた。

ゆっくりと車に近付いてきて俺に優しく笑いかけるのを見たら、俺はもう頭がパンクして今にもフリーズしそうだ。

どうしてそんな顔をするの?
どうして泣いて喚いたりしないの?


「レン!レーンーッ!嫌だよ、なんで俺をひとりにするの?ねぇってば…!」


ガラスごしのレンに叫び続ける。
レンは困ったように笑いながら、何やら口を動かした。
涙で滲む視界の中で目を凝らす。



「すきだよ」


確かにレンはそう言った。
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