秘密

□俺のカイト兄さんだッ!
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「リンねぇ、コロッケと唐揚げとフライドポテトが大好きなのっ!」

とか言いながら何度目かのおかわりから帰ってきたリンが隣に座る。

しかし皿には何ものっていない。

顔を見ると無表情で、これは構ってくださいのアピールだと知る。
よくあるパターンなのでみんなは完全に無視で自分の食事に夢中だが、いつもひとりだけ反応をしてくれる人がいた。


「あれ?どうしたの、リンちゃん?揚げ物もうなかった?」


心優しくって親切なカイト兄に黙ってコクリと頷いてみせるリン。

するとカイト兄はなんの躊躇いもなく自分の皿にあるコロッケをリンの皿に移した。
リンの表情がパッと明るくなるのを見て嬉しそうに目を細めるお兄ちゃん=B

それが無性に腹が立って、俺以外の人に向けられた笑顔にイラついて、無意識のうちに俺はリンの皿からコロッケを奪って食べていた。


「あっ、」


不意を突かれて反応が返せないリンを「ざまあみろ」と心の中で嘲笑う。

あんまりカイト兄にベタベタして欲しくないんだ。
それ、俺のだから。


「レン。相手がいいって言ってないのに取っちゃダメでしょ?リンちゃん可哀想じゃん」


少し怖い顔をして怒っているカイト兄に睨みを利かせてそっぽを向くと、それまで黙って見ていためーこ姉さんに三人揃って怒られた。
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