秘密
□夢の国
1ページ/10ページ
7月の昼下がり。
リビングではみんな気怠そうに項垂れていて生気がない。
そんな中でひとり、見ているだけでこっちが暑くなってくるようなマフラーとコートで意気揚々とアイスの蓋を開ける青いロイド。
何がそんなに嬉しいんだ。
外はこんなに暑いのに、クーラーも壊れてて仕方なく冷凍庫を開け放して涼んでいたらやたら怒られた。
溜め息をつく。
スプーンを咥えたマフラー野郎がキョトンとした顔で振り向いた。
「レン?どうかしたの?」
「どうかしたっていうか兄さんこそなんでそんなに元気なの」
「あ、俺だけアイスでズルかったね!ごめん気付かなくって、いくつ欲しい?」
なんてちょっとズレた思考で冷凍庫へ駆けていこうとするカイト兄さん。
「いいよ、いらない」
素っ気なく断ると困ったように眉を下げてソファに座り直した。
そんなひとつひとつの表情さえ可愛らしいと思ってしまう俺はなんなんだろう?