秘密
□かさなる影
1ページ/12ページ
俺は自分の目を疑った。
部屋に入ってきたマスターの影に隠れるようにして立つ男の子。
俺と同い年か、あるいは少し年下に見える。
だけどどこか見覚えのある顔。
「マスター…誰?それ」
視線は男の子から逸らさないまま問いかけたら、とんでもない答えが帰ってきた。
「カイトだよ」
「え、」
え、だって誰だよ。
カイト兄さん?え?
嘘だろ、俺よりちっさいじゃん。
でも確かに言われてみれば、青い髪、青い眼、青いマフラー、白いコート。
「カイト兄さん…?」
マスターの後ろを覗き込むようにして声をかけると、彼は戸惑ったようにおどおどして反対側から前に出てきた。
振り返って向き合う。
やっぱり俺の方が少し背が高い。
長い睫毛の下からちらりと覗く青が兄さんと一緒。
「本当にカイト兄さんなの?」
確かめるようにもう一度聞くと、彼はゆっくり頷いた。
俺は頭がこんがらがってマスターを見上げる。
説明を求めるとマスターも困ったように小さく息をついて教えてくれた。