秘密
□○●の世界へようこそ
1ページ/8ページ
夢から夢へ、叶えては奪うの繰り返し。
この世界に生まれてから、もう何千個もの夢を喰べて生きてきた。
どれ一つとして同じ味はない、全部違った夢。
好き嫌いなんてないよ、これこそがボクの幸せなんだから。
でもあえて言うなら、ひとつイイコトを教えてあげようか。
あのね、
この世で最も美味しいのは、無垢な乙女の夢なんだ。
*****
今日も寝不足。
こんな仕事をしていると、休む暇なんてない。
世界中の、いつもどこかが夜だからね。
昼でも夢を見てる奴はいるし。
でもつまらないな、ボクが望んでるのはこういう『おねがい』じゃないんだよ。
怖い夢は見たくないだとか、悪い夢は喰べてくれだとか、別にそれでもいいんだけどさ。
そんなものは叶えたうちにはいらないんだ。
どんな夢が見たいのか、もっとはっきり言ってくれなきゃ。
「あー、夢が見てえ!」
そうそう、そんな…
「って、えぇ!?」
思わず声に出して叫んじゃったけど、え、いまなんて?
夢が見たい?
そんな根本的なところから望む人がいるの?
どこだ、今すぐ探してその願いを叶えてあげなきゃね。