学園!MAD LOVE

□朝会
1ページ/2ページ



「きゃ、やだ!もうこんな時間!」


お久しぶりです、ハルです。
昨日は友だちと遅くまで電話をしてたら、寝坊してしまいました!



「早くしないとっ、いってきます!」




駆け足でいつもの道を行くと、後ろから聞きなれた声がした。



「せーんぱーい!ハルせんぱーい!!」



この声は、




「あ!ウタくん、おはよう」



声の主は、2つ年下の1年生で、目が猫のように大きな 宇多田 みどりくん。



「おはよっ!センパイも遅刻なのー!?」


と、八重歯を覗かせて子供のような笑顔を見せた。



「そうなの、寝坊しちゃって」
「そーなんだっ!僕とおんなじだねっ!」



二人で息を切らして走っていると、
目の前にやっと学校の校門が見えてきた。



「よ、よかった、なんとか間に合いそうね、ウタくん」
「うん!」



閉まりかけた校門を走り抜けると同時に予礼のチャイムが響く。



「はあ、危なかったあ。危うく生活点減点されるとこだったわ」
「でも遅刻しそうになったことでセンパイに会えたなら僕今日ラッキーデーかもっ!」
「もー、ウタくんたら」





そんな話をしていると、横から陽気な声が聞こえてきた。







「なーにがラッキーデーなんや?宇多田くん」


聞きなれた関西弁の声の方を振り向くと、



「げっ!!キョウイチ先生!!」



「げ、とは なんや。げ、とは」




と、現国の教師で生活指導の
丹波 京一先生が現れた。





「だってホントにラッキーデーなんだもん!遅刻しなきゃ今日センパイに会えなかったんだよ!教師なら僕の恋を応援してよおーっ」




頬を膨らませるウタに、キョウイチは




「ほう、それは不純な動機やな。とりあえず生活点マイナス100点か死刑かを選んでもらおか」

「選択肢少な!!ふ、ふーんだ!どっちも選んでやるもんか!エロ教師!!センパイは渡さないんだからね!!」

と、ウタは捨て台詞を吐きながら校舎へと向かっていった。





「全く困ったもんやな」


「あ、あのっ、丹波先生」

「なんや? ハルちゃん」






ハルは眉を八の字にしながら口を開いた。




「遅刻してしまってすいませんでした、以降気を付けるのであんまり生活点下げないでください」



すると、キョウイチはハルの手を取った。



「きゃっ!丹波先生っ」


「ええねん、ハルちゃんは特別や」

「えっ…」

「今回は君の可愛さに免じて減点はチャラや」

「ほ、ホントですか…っ」





目を丸くするハルにキョウイチは陽気な声で続ける。




「ただし、今度遅れたら」


「…?」





















「ワシの特別な生活指導、受けてもらうで? もちろん、二人きりでな」





耳元で囁かれたそれに、ハルは赤面し、キョウイチに捕まれていた腕を払った。






「い、以後気を付けますっ!…で、ではっ… !」





そう言い、ハルも、ウタに続き校舎へと向かっていく。







キョウイチは払われた手をべろりと舐めた。








「誰にも渡さへんで? 君はワシのもんや」








本礼が校舎全体へと響き渡る。




-
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ