学園!MAD LOVE

□一限目
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ハルは教室に入り、自分の席に着いた。
隣の席に向き直り、


「ミヅキくん、おはよう」


と声をかけると、隣に座る宍戸 深月(ししど みづき)は目だけをこちらに向けた。


「おう アホ子。遅刻とか珍しいな」
「あっうん、昨日友達と長電話してたら朝起きれなくなっちゃって」

「んだよ、心配して損した」

「えっ? 何?」

ハルが聞き返すと、ミヅキは

「なんでもねえ」

と、前を向き直すと同時に、
一限目の授業が始まった。




すると、






「あ、やべ」


と、ミヅキが机の中を覗きながら舌打ちをした。


「どうしたの? ミヅキくん」

「あー、英語の教科書忘れちまった」

「あ、いいよ。一緒に見よ」

と、ハルはミヅキと席を繋げ、教科書を開いて見せた。


「わりーな」
「ううん、いいの」

ハルがそう笑うと、ミヅキは頭を掻いた。



ふとハルは、ミヅキとの距離が意外にも近いことに気づく。



「(あれ…今までミヅキくんとこんなに近くなった時なんてあったかな…?)」



そんな事を思っていると、ページをめくる手が触れた。



「あ、ご、ごめんなさっ」

咄嗟に謝ると、「別に」と短く返される。


変に意識してしまった自分に、赤面したハルを見つめ、ミヅキは










「照れんな ばーか」







と、目を細くさせ笑った。




「て、照れてなんか…っ」
「じゃあ何 耳まで真っ赤にしてんだよ あ?」


「も、もうミヅキくんてばっ…」





意地の悪いミヅキの言葉に何も言い返せなくなったハルは、教科書に目を落とした。






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