学園!MAD LOVE

□二限目
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休み時間。
廊下を歩いていると、ダルそうな歩き方をした先輩の姿が目に入った。



「世良先輩。こんにちは」
「あー アンタか」


と、相変わらず飴をベロベロ舐めながらだるそうにしている三年生の 世良 斗真 (せら とうま)がこちらを振り返った。



「どうしたんですか、その荷物」
「授業で使った資料。日直だから戻してこいってセンセーが。 あー…めんど」


と、両手にあふれそうな荷物を抱え、世良はため息をついた。


「あの、よかったら私、一緒に運びます」
「えー まじ?」
「はい、どこに持っていくんですか?」
「理科準備室。んじゃ、この上の資料だけ取ってくんない」
「あ、はい」


と、ハルは世良の両腕から資料を受け取った。






□□□





薄暗い理科準備室に入り、二人は資料を片づける。



「よし、これで大丈夫ですね」
「助かった どうも」
「いえいえ」

普段中々入らない準備室。
見渡すと、薄暗い部屋に光る異様なホルマリン漬けたち。


気味が悪くなったハルは、


「な、なんかちょっと怖いですよね、ここ。早くでましょうか…って、きゃっ…!」


言いかけた途端、世良はハルを壁に追いやった。



「あ、あの先輩っ…顔が、近いですっ…」




赤面するハルに、世良は



「次の授業、サボろうか」
「えっ…!」


世良は続ける。



「アンタのそういう困った顔、もう少し見てたいんだけど」
「え、と…。そのっ…」


俯くハルの顔を世良は無理やり覗き込む。
ハルが口を開こうとした瞬間、















「なんて冗談だけど」
「え…」


「本気にした?」
「し、してません…!わ、私、失礼します!」




世良の手を払い、準備室を後にしようとすると、



「ねえアンタさ」


「…?」



すると、世良から思いもよらない事を言われた。





「来週のクリスマス、何してんの」
「え、クリ、スマスですか…?いえ、特にまだ決めてなくて」

「ふーん」
「あの、何か…?」



世良は少し考えた後、





「クリスマス、会う? 俺と」
「え…ええ!」


いきなりの事にハルは動揺を隠しきれない。


「なにそれ、嫌なの?」
「いえ、嫌とかじゃなくって…その」
「じゃあ、18時。ツクネ駅で」
「え!あのっ!先輩!?」


半ば強引な誘いに、慌てるハルをその場に残し、世良は準備室をあとにした。



「ど、どうしよ…」



ハルは火照った顔を必死に仰いだ。



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