学園!MAD LOVE

□五限目
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帰り道。


ハルは迷いながらいつもの通学路を帰っていた。
クリスマス、世良にミヅキ。そして丹波にも誘われ、ハルはいっぱいいっぱいになっていた。


「(わ、私どうすればいいのかな…)」



すると、後ろから聞きなれた声がハルを呼んだ。



「ハールせんぱーいっ!」
「あ、ウタくん。今帰りだったの?」
「うん!センパイの姿が見えたから走ってきちゃったよ!」


と、息をあげて追いかけてきたウタに、ハルはクスリと笑った。


「そっか、ありがとう。途中まで一緒に帰ろっか」
「うん!」


そう言って、帰り道、ハルとウタは二人で雪が降りそうな空の下を歩きだした。



「もうすっかり冬ね」
「そうだね、センパイ寒くない?首とか」
「あ、ちょっと寒いかな…。今日慌ててたからマフラー巻くの忘れちゃって…」

と、首をすくめたハルに、ウタは自分のマフラーの結び目をほどいた。



「え、ウタくん?なにして…」



目を丸くするハルに、ウタは優しくマフラーを巻いた。


「はい!これで大丈夫だよ!」
「え、でも、これじゃウタくんが」

ウタは鼻を摩りながら、


「いーの僕は!男なんだから!それに」
「それに?」


「それはセンパイに付けてほしいんだ」
「ウタくん…」


ウタは少し考えたあと、寒空の中口を開いた。



「センパイ」
「ん?」


「僕の気持ち、もう知ってるかもしれないけどさ。ちゃんと、言わせてほしいんだっ」
「え…」









「クリスマスの日、ちゃんと告白したい。お願い、その日、僕と会ってくれる?」
「あの、えっ…」


驚くハルにウタは、







「お願いセンパイ。18時、僕ツクネ公園で待ってる!」




と、言い残し、ハルの元から走り出した。



ハルの首元には、ウタの残したマフラーが風になびいている。





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