上巻

□殺人鬼たち
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「ハル、分かってくれた?」



ウタがハルを宥めている。



ハルは諦めて頷いた。
今首を横に振ったらどうなるかは分かっていたからだ。







「よかったぁ!じゃ、そんなら自己紹介だね」





「自己…紹介?」








「うん!だってこれから同じ家で過ごすんだからさ、お互いの事を少しでも知ってた方がいいでしょ?」





「まぁ…は、はい」




おずおずと答えると、ウタは司会進行を続けた。






「ま、さっきも挨拶はしたけどさ、僕は宇多田 みどり!ウタって呼んで!皆に妄想壁があるなんて言われてるけど、自分では自覚ないんだよね!」





ウタが妄想だけで自分の首を絞めてきた時の事を思い出し、ハルは身震いをした。




「こいつは 宍戸 深月! ミヅキだよ!」




と、ウタは先ほど自分に弛緩剤を飲ませた鋭い目の男を指した。





「自分で調合した毒を使って散々女を殺してきた毒薬殺人鬼だよ!ミヅキが新薬の実験する度に女が死んで僕らはちょー迷惑だけどね!」





「ああ!?お前だって鬼畜外な妄想で衝動的になって女散々殺したろ!お陰で暇になったってもんじゃねぇ!このハゲ!」



「ハゲてなんかない!僕はまだティーンズだい!」






すると、ミヅキが自分に近づいてきた。
先ほどの一見でハルはかなり彼を警戒していた。





「ハッ!いいねぇ、その嫌がる目!滅茶苦茶興奮するぜ、アホ子ちゃん」





「……、」




ミヅキを目の前にしたハルは恐怖で口から細い息をする事しかできなかった。










「はいはい!ミヅキ!その辺にしてよ!じゃぁ次!こっちの髪長いやつは、世良 斗真!セラトって呼んでやって!」







と、ウタがセラトを指した。






「あ、よろ…よろしくお願い…します…」






ハルが震える唇を動かして必死に出した言葉だった。










セラトは飴をベロベロを舐めながら、









「あー、うん、やっぱ好みじゃないわ」



と呟いた。







「えっ…」



「俺はもっとスラって感じの子の方が好きだからさ」






「え…、あ、…はい…?」








少しまともそうな人もいると思ったのも束の間。



ウタが紹介を続ける。







「セラトはね、目玉が好きでさ、気に入った子がいると目を穿りだしちゃうんだよね、」



「え…目…?」




「そう!僕らさすがに死姦には興味ないのにさ、その手法でお気に入りの子は全員目をくり抜いて殺すんだから参っちゃうよ!」





「それはありがとう」


「褒めてないよ!、ま、ざっとこんなとこ!他に分からないことがあれば訊いてね!後で寝室とバスルームとか案内するから」




「あ…はい…」






「5人での共同生活になるから、よろしくね!」








「え、5人?」







今ハルの目の前に居るのは、



衝動殺人鬼の ウタこと 宇多田 みどり
毒薬殺人鬼の ミヅキこと 宍戸 深月、
猟奇殺人鬼の セラトこと 世良 斗真とで、


ハルを含めると4人だ。











「あ、そうそう、今一人居なくてさ!もうすぐ帰ってくるとは思うけど、その時にまた紹介するね!」











「あ、はい…」














雷雨が酷い音を立てて
窓を叩いていた。









夏なのに、肌がひりひりと
寒気を残している。















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