上巻
□森の夜
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本当にこの一日で色々な事に遭ってしまった。
でも、殺されない為にはまず、暫くこの暮らしに順応せざるを得ない。
《この森に入ったが最期、二度と外へは出られない》
消えた女性たち。
もしかしてこれは、4人に何等かの事から激しく反抗し、その姿に反感を買われ殺されたのではないか…。
ハルは、ウタに案内された自室のベットで横になりながら、そんな事を考えていた。
だとしたら、なおさら順応する他はなかった。
いつか4人が自分に飽きて、この洋館から追い出す機会がくるかもしれない。
そうすれば、ここから出られる突破口が生まれるはず。
そんな事を考えていると、
時計はとっくに夜中の12時を指している。
すると、どこからともなく、静かな足音が聞こえた。
その足音はどんどん、自室に向かって歩いてくるのが分かる。
すると、やはりその不気味な足音はハルの部屋の前でぴたりと止み、いつ中に入ろうかと考えているようだった。
ハルは咄嗟に布団を被った。
「(…誰…?猫のような大きい目をしたウタさん?
それとも、鋭い目をしたミヅキさん?長い髪のセラトさん?それか…キョウイチさん…?)」
ハルは震えながら細い息を吐き、
自身を落ち着かせようと試みたが、
瞬間、ドアノブの開く音によって
その平常心は保たれなくなってしまった。
「遊びに来たぜ? アホ子ちゃん」
声と共に被っていた布団を剥がされてしまった。
この声は、
「み、ミヅキ…さん?」
「大正解、俺様だ」
「こ、紅茶なら結構です、それに…これから寝ますから」
昼間の事もあり、彼には警戒心をむき出しにするハル。
するとミヅキはハルのベットに腰を掛けた。ベットの木目が軋む音が、しんと静まりかえった部屋に響く。
「ハッ、アホ子の癖に偉そうにしてんじゃねぇ。寝るとか寝ないとか、それは俺が決めんだよ」
「え…?」
そう言うとミヅキは強い力でハルに覆い被さった。
昼間、ワインレッドのソファに押し倒された時のように。
「ちょっ…、なにするんですかっ、やめ」
「ま、昼間は俺が楽しませてもらったし?今回はお前を存分に楽しませてやろうかなってな」
「…離してっ…」
弛緩剤の効力が切れてもやはり男の力には
勝てるわけもなく、ハルはミヅキに組み敷かれてしまった。
「お前give and takeって知らねえの?気持ちい事させてもらったら、気持ちい事を返してやる。俺結構義理堅いとこあるんだぜ?」
「な、…なにをする気…っ…!」
月明りにミヅキが不気味な笑みが照らされた。
「ハッ!何って…、女が気持ちよがる事なんて一つしかねぇだろ、面倒くせぇけど、セックスでもしてやるよ」
「…!?」
ミヅキがハルの首筋にしゃぶりつく。
「やだ…、やめ、て…!」
「これからご奉仕してやるってのに、やめてはねぇだろ、」
力づくでパジャマのボタンを外され、
ボタンが床に落ちて部屋の隅へと転がってゆく。
ミヅキはハルの胸に顔を埋め、深く呼吸をした。
「ハッ!こんな甘ったるい匂い垂れやがって!」
「いや…、もう離して…!」
「あぁ、いいぜ?でもそれは、お前のもっと苦しむ顔を拝んでからだ」