きっともう、好きじゃ足りないくらい。

□君だから
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日曜日、休日。
貴士は信男の家に遊びにきていた。
終始くつろぎ、他愛もない話で恋人の時間を過ごしていた。貴士は何かに気づいたように

「あれ、そういやさ、」

「ん」

「のぶくんてメガネなんかしてたっけ」

「え?うん、俺普段コンタクトだけど、家居るときはメガネなんだ」

「ふ〜ん、結構悪いの?」

「うん、まぁ、それなりに」
すると信男はおもむろににメガネを外した。

「こうすると貴士の顔全然見えない」

信男と貴士の距離は50センチ。

「えっ、めっちゃ、悪いじゃん、こんくらいだと?」

そう言い貴士は信男に近づいた。

「ん〜、まだ見えない」

「えー、じゃぁこれは?」

だんだんに近くなる距離。

信男と貴士の距離はお互いの息づかいを感じる程になった。貴士は再度信男に近づく。

「こ、これは?」




ちゅ




「…なっ」

赤面する貴士に信男は笑みを溢す。瞬間、信男は目の前の赤面する貴士を抱き締めた。

「う、わっ!!」

細い息づかいを耳もとで感じる。

「つかまえた」

静まり返る部屋。カーテンの隙間から優しく射す光は二人を包みこむ。

「のぶくん…っ」
信男の腕に力が入る。

「のぶくん、俺、つかまえなくても、ここにいるよ」

「貴士、どこにもいくな」

「え…」

「俺のそばにいて」

「俺、い、今ここにいるじゃん」

信男は貴士を抱き締めたまま

「うん、そだな、俺がただこうしたいだけかも」

「変なのぶくん…」

「うるさい」

恋人たちの時間。流れる雲の先には
二人だけの未来。



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