殺人鬼の過去
□目玉
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「はーい、二人組作って」
この言葉、俺が一番嫌いな言葉。
だって俺には友達がいないから。
学校のやつらも、先生も、親も、皆俺に興味なんかない。
家に居てもどこにいても、影が薄くて、
たまに人と目を合わせると、
「なんだ、居たのか」
と、冷めた目でそう言われる。
俺はただ、俺という存在を認めて欲しかった。
ただ少しでもいい、ちゃんと見てくれ。
…寂しいんだ。
そんな思いが、俺の中のなにかを強く突き動かした。
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今日は大好きな目玉コレクションの手入れの日。
数えきれないほどの目玉たちが、俺を、
俺だけを見ている。
もう、何も要らない。
俺を見てくれさえする目玉があるなら。
「あんたのその目、ちょー好みなんだけど」
いつの間にか、寂しさは狂気になっていた。