隣のスラップスティック!
□第一章
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「あー…死ぬかと思った…」
と、秋成は隣太郎の作ったチャーハンを一気に平らげた。
「まったく…このご時世 日本で餓死なんて笑えないですよ」
「いやー本当だな 助かったよ…。なんか眠くなってきた…」
うつらうつらし始める秋成に、隣太郎は、
「あ、じゃあ俺帰ります。挨拶はまた今度にしますんで。ゆっくり休んでください」
「…あ…悪りい、財布とってくれ、その棚の上のやつ」
「え、あ、はい」
隣太郎が黒い革の財布を秋成に手渡すと、
相当眠いのか、首をかくかくさせながら財布を開く。
「え、お金とかいいですよ!俺っ」
「これ…おれ…」
そう言い、秋成は気を失ったように目を閉じ、そのまま眠ってしまった。
残された隣太郎に渡されたのは、
「え、名刺…?佐藤…あきなりさん…?」
隣太郎は、手渡された名刺をポケットに入れ、
その場にあったバスタオルを彼に掛けた。
「…この人今までどうやって生きてきたんだろう」
そうして隣太郎は自分の部屋へと戻った。