Kiss in the dark

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 村人は普通に生活を営んでいるように見えたが、侵入者を発見すると様子はひとたび豹変した。各々、手にしていた道具をレオンに向かって振りかぶる。慣れた手さばきで、銃弾を村人に浴びせて、蹴りを繰り出すがきりがない。入れる建物はないかと見渡す。手前の民家の入口に村人が集結しており、その考えは止めた。
 チェーンソーを所持した麻袋の男二人は入口を破壊することに夢中で、レオンには気づいていない。

「……誰かいるのか?」
「Matar……」

 人がいるのなら助けなければ、とも思うがまずは自分の周囲を片付けないと前にも進めない。焦る気持ちを抑え、彼らを地に伏せさせていく。しかし終わりはみえなかった。

 ゴーンゴーン
 どこからか鐘の音が響き渡り、終わりのない戦いに突然の終止符が打たれた。レオンから別のものに意識が移った村人たちは、奇妙な紋章が刻まれた扉に入っていく。
 誰も居なくなった村は不気味さが増し、沈黙に包まれた。

「どうなってる…」

 彼らが入っていった扉は鍵がかかっていて開かない。
 ふと、感じた上からの視線に、先程の民家の事を思いだす。壁にはチェーンソーが一本突き刺さったまま。どうやら、内側から扉に重しがしてあるらしい。もう一人のチェーンソー男が壊した場所から中に入るとキツイ臭いが鼻につく。

「…ガスか…?」

 出所はコンロ。長期間放置されたコンロは汚く、使用した様子もない。おそらくガスも古くなって、火の気に引火するようなことはないがキツく元栓を締めた。

キィキィ
「?!」

 後ろに感じた人気。軋んだ音を発て、揺れる裏口の扉。風ではない揺れ方に、追いかけようとするレオンをハニガンからの通信が足を止めさせた。

「ハニガン…」
『レオン。状況はどう?』
「今、人が…」
『追い掛けてる途中だった?ごめんなさい』
「いや。大丈夫。それより残念な報せだ。同行した警官の死体を発見した。何が起きたがわからんがまともじゃない」
『その場に留まるのは危険ね。北側のルートから村を抜けれるわ』
「了解」

 ハニガンの方も情報に進展はなく。早速、北側のルートを使って先に進む。
 坂道の頭上から大岩を落とされるという悲劇にあったが、落とされる前に大岩の存在に気づき潰されずに済んだ。
 トンネルを抜け、廃村の民家に入る。不自然に塞がれた入口の棚を退かし、更に奥に進んでいくと、クローゼットが。時より激しくうごめく、クローゼット。片手にハンドガンを構えたまま、戸に背を付け、鍵を開けた。

「ううっ」

 ドサッと倒れてきた男。手足は縛られ、口にはガムテープ。ガムテープを荒っぽく剥げば、文句を言われる。

「あんたは奴らと違うのか?」
「あんたはどうなんだ」
「一つ大事なこと聞かせてくれ。たばこあるか?」
「ガムなら…。っ?」
「やばい!ここのボスだ」
「なに?」

 いつのまに現れたのか。鋤と斧を手にした二人の男と、その後ろにはガタイのデカい男。レオンが咄嗟に蹴りをくらわすが、片手で受け止められて、簡単に吹き飛ばされる。蹴りの勢いが強かった分、反動も強く、クローゼットにぶつかりレオンはその衝撃で気を失った。



あと少しで届くのに…

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