番外編

□両手に華でもいいじゃないですか
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屯所には2つの可憐な華が咲いている。
















京の町に屯所というものを置く我が新選組は

会津中将お預り、泣く子も黙る壬生狼と恐れられている集団であるが


そんなむさ苦しい男達が集まるこの屯所の中に
可憐で可愛らしい華が2つ咲いているのだ。















人一倍むさ苦しい体格の自分が新撰組をむさ苦しいと言うのも可笑しな話ですが、本当に気が滅入るほど男臭いこの住まい。


新選組がまだ壬生浪士組と言われていた頃、結成間もなくのここに自分が入隊してすぐ…


一輪の華が保護された。



一輪咲きの花のように凛々しい…しかし、その一輪だけでも強く香しい匂いを放ち、周囲を和ませる。なのに時折儚げでもある…何か不思議な雰囲気を纏う彼女。


川澄さんが壬生浪士組に保護され、生活するようになって本当に屯所内がパァッと明るくなった。
彼女が女性と知るのは本当に一部の人間だけで、事情を知らない平隊士の中には彼女の立場と扱いに疑問や不満を持っていた者も居たようだが、そんなこと気にすることもなく堂々と…常にそこに在る彼女。

あの芹沢さんにも目をかけられていて、そしてその芹沢さんが死を迎えたときも…
細かい詳細を理解していたであろう彼女は、普通の女性のように泣いたりわめいたりはせず
そして誰を責めることもしないでその事実を静かに…そして強く受け止めていた。















そして、壬生浪士組が名を新選組と改めて
内部の騒動も落ち着いて隊内が安定した頃


もう一輪の華が保護された。



野花のように可愛らしくて大衆から愛される華のような彼女。
それでいて芯は強く、多少のことではへこたれない…

雪村君は、保護された時の状況があまりよくはなく
最初は監視がついていてとても窮屈な生活を送っていたと思う。
しかし、めげること無く父親を探したいと言う目的を諦めず
いつしか幹部達にも認められ、可憐な笑顔を振り撒いて私たちを癒してくれる。


屯所内がより一層明るくなった。



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