鉄パンと高嶺の華

□閑話all?/秋様 10000フリリク ジブリ討論会 ※軽くジブリ批判です
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「あれ?尊ちゃん寝てる。」



人様の家でその家主を放って話に花を咲かせて居た自分達もどうかと思うが…
各々が飲んで何かしらで盛り上る中、俺は先程まで只ひたすら土方さんの仕事の愚痴(主に総司に対するもの)を何時ものように聞き入って居た。それがいつしか土方さんが寝てしまい、尊がタオルを掛けた所までは確かに彼女は活動していた…が、
不意に口を開いた総司のその言葉に全員が自分達から少し離れて一人リクライニングソファーの上で飲んでいたはずの尊の方に視線を向ける。



「何か知らねぇがかなり早いペースで飲んでたからな。」



呆れたような、しかし憂心を含んだ物言いの左之の言うと通り
途中から片付けるのが面倒になったらしいビールの缶に囲まれて静かに寝息を立てている尊。
先程も言ったが、勝手に盛り上がっていた自分達も悪いが…
どうしてこうも…彼女は自分に対しての危機感というものが軽薄なのだろうか?
以前もそうだ。このメンバーで飲んでいたときも総司と3人で飲んでいたときも…いつもいつも先に寝てしまう。仮にこのメンバーだからこそまだ何か間違いがあるということはない。
それは付き合いの長い俺が保証できることではあるが…これがもしこのメンバーではなかったら一体どうなっていることやら…



「はぁ……」



誰にも気づかれないように小さく呆れのため息を吐いた俺は静かに立ち上がり、数歩先の尊の元へと足を運んで起こさぬようそっと抱き上げる。



「はじめくん、おっとこ前〜!」



酔った平助の冷やかしを軽く無視して間仕切りの向こうの一人寝には少しばかり広いベッドの上に改めて寝かせる。



「どうする?家主も寝たことだしそろそろお開きにするか?」

「いやいや、夜はまだこれからだろ?」

「大丈夫、尊ちゃんなら放っといて騒いでも多分怒らないから。」

「何を根拠に…」

「また隣近所から苦情来たらどうすんだよ?」

「その時はほら、左之さんがいるから大丈夫でしょ?」

「違いねぇ。」

「俺かよ!」



この後について好き勝手に言い出す総司達。
此方も足元で綺麗に畳まれていたタオルを尊に掛けたところで交替とばかりに鬼が…いや、土方さんが目覚める。



「うるせぇぞ、耳元で騒ぐんじゃねぇ!」

「お、土方さんのお目覚めだ。」

「今までぐうすか寝てた人が何を言ってるんですか?」

「第2ラウンド突入か、土方さん?」

「寝てたんじゃねぇ、休憩してただけだ。」

「いや、しっかり寝てましたよ。いい加減自分が下戸だって認めてくださいよ。」



寝起きの土方さんをからかうなんて、しようと思うのは総司くらいのものだろうが…
そのまま静かに尊の元を離れてキッチンに水を取りに行き土方さんに差し出そうとしたとき



−ガサリ



踏み出した一歩がテーブルの下の何かに当たりその紙質の音を立てる。



「……」



そんな俺の様子と視線に気づいた総司。



「何?はじめくん?」



テーブルの下に隠されるようひっそりと置かれた紙袋を見事に見つけ出してその存在を露にしてしまう。



「何?土方さんが持ってきたの?」

「そういや来たときから何か持ってたよな。」

「食いもんか?」

「おい、お前ら勝手に…」


若干焦り気味の土方さんの制止を無視して紙袋から中身を取り出そうとする総司。それを興味深く他のメンバー、そして俺も注目する中いよいよ中身が明らかになる。



「……何これ?」

「DVD…つか、ジブリ。」



それはいつしか俺の家にも数日間置いていたあの長編アニメのDVDだった。



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