新荒

□Don't cryーGood buy
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「このような事が、二度と起こらないことを祈ると共に、彼らの冥福を祈ります」
臨時の全校集会は、あの事件が起こった次の日に行われた。
悔しそうにする東堂。涙を流す泉田。福チャン、真波は必死に涙を堪えていた。そして、その場を居たたまれなく思い、集会に参加しなかったやつがいた。黒田だ。
思い残したことがあれば、こっちいられるというのは本当だったのだろう。あのとき、黒田のことを思った事からここにいることが出来ているのだろう。今頃新開があっちで俺を探しているはずに違いない。
「東堂には悪い思いさせちまったしなァ……」
あの日、慌てた東堂が救急車を呼んだものの手遅れだった。さぞかし辛かっただろう。
「あぁ!クソッ!!」
自暴自棄になった黒田がよく見える。昨日からずっと泣き通しなのか、黒田の目は真っ赤に腫れ上がっていた。
「これじゃあ教室にも行ってねぇーな」
一人、俯瞰しているのは悪いとは思う。だが、今の自分には何もできないというのが事実だ。
「靖友!」
まさか、この声は……。
「新開!?」
何故、こいつがいるのだろうか?訳がわからない。
「なんでお前がここにって顔してんな」
「だって……」
相変わらずニヤケ面の新開。
「お前が心配だった。半ば無理矢理俺がお前を死なせてしまった気がして……。お前が、最後まで黒田を気にしてることは分かってたんだ」
俺の黒田に対する気持ちが新開を呼んだ。俺はそう思う。
「黒田……、どうするつもりだ?」
「どうっていったって!!」
何もできやしないのだから。
「靖友が、生前優しくしたから……」
「違う」
「だから黒田が」
「違う」
新開の言葉はまさにその通りだ。でも、否定しなければならないと俺の中で何かが叫んでいる。
「何が違うんだよ」
「お前が……、新開が『心中』しようなんていわなければこうはならなかった」
「俺のせいかよ」
「他の方法をとって、俺と一緒にいることだってできたはずだ」
こんなの言い訳でしかないと分かっているのに、口先だけが先走る。
「靖友が俺の告白断ればよかっただろ。確かに、半ば無理矢理なところはあったかもしれない。それでも、靖友が断れば、二人とも死ぬことはなかった」
あぁ、全ては俺のエゴが招いた失態か。
「分かったよ。こうなった今、俺がどうにかする」
黒田をどうにかしないと。

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