新荒

□Good Luck
4ページ/4ページ

『トントン』
「隼人、入るぞ」
『ガチャ』
「隼人!荒北!!」
あ、東堂が来たな。目をゆっくりと開ける。しかし、開かなくて薄くしか開かなかった。
「どうしたんでs……、荒北さん!新開さん」
東堂の裏から、黒田が顔をだした。そして、黒田は俺の元へと、東堂は新開の元へとかけよっていった。
「荒北さん!!死なないでくださいよ」
薄く開く目から見えたものは、泣く黒田の顔だった。
「あんたが死んだら、俺、あんたのこと一生抜けないじゃないですか!!」
熱いものが俺の頬に流れる。それは、黒田の落ちた涙だということがわかった。
「俺、あんたのこと……、『好き』です」
『あぁ、俺もお前のこと好きだ』そうやって返事をしたかった。
ただひとつ心の中で思った言葉は『ごめん』という言葉だった。
誰に対するものなのかはわからなかった。新開に対してなのか、それとも黒田に対してなのか、俺はもう自分でもよくわからなくなっていた。
「荒北さん!!」
ただ、泣きじゃくる黒田と、隣に寝ている新開を見ることだけしかできなかった。

             



 ―ごめんな、本当に―
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ