東巻(巻東)
□From J to Y
1ページ/12ページ
『ブー、ブー』
携帯のバイブ音が部室に鳴り響く
『パカッ』
「もしもーし、巻ちゃーん!珍しいなぁ……、そっちからかけてくるなんて」
「東堂……。わりぃ、俺イギリスに行くわ」
巻ちゃんが一体なにを言っているのだか分からなかった。
「巻……、ちゃん?」
だってこんなにも急なのだから
「あっちで、兄貴の仕事の手伝いしながら大学行くわ」
何……、言ってるんだよ!!つい最近『また、勝負しよう』って約束しただろ?
「巻ちゃんならうまくやれるさ」
飛び出しそうになった言葉を必死で抑え込む。そして、また涙も抑え込んだ
「ありがとな、東堂……」
『プツン』
簡単に切れてしまった電話は、今までみたいな意味はない
「巻ちゃーん!」
叫んだ声が部室にこだまする。それと同時に抑え込んでいた涙が溢れだした