大伴一志の章

□章間〜前夜〜
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ベランダに出ると雲の切れ間から月が見えた。

今日の夜空は雲が多い。

時々覗く月光が綺麗だ。

月を見ていたら五瀬さんの言葉を思い出した。

禍津神。

封じなければならないもの。

五瀬さんは「封じるだけでいいのか?」っと言ってた。

五瀬さんは禍津神を封印する為に動いている訳じゃない、別の方法を考えている様だ。

方法があるの?

封印する以外に方法が?

その為に力が欲しいの...かな?

私達は明日からは東京。

きっとこことは違う世界が見えるんだろうな。

私の目の前はまだ暗く、先の見えない道なき道を歩いている感じがする。

宗史さんは私も巫女の力が目覚めて来てるって言ってた。

けど、森を破壊したあの力は私の力じゃない。

誰か別の...

懐かしい人の...

夜刀は『巫女の力に目覚めた者が巫女なのだ。』って言ってた。

どういう事なんだろう?

.........。

巫女の力に目覚めるって...?

難しい事だらけで、頭が混乱しそう。

兎に角、明日からは東京で巫女としての修行がはじまるんだし、とにかく前へ進まなくちゃ。

いよいよ、スタートの気がする。

気合い入れなくちゃ。

巫女として。

橘朋美として。

頑張らなくちゃ...

私は一つため息をつく。

はぁ。







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