大伴一志の章
□第14章
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気がつくと私はベットの上で寝ていた。
知らない部屋。
その部屋はカビ臭くて埃っぽい。
隣には一志が寝ていた。
帰ってきたんだ。
夢の世界から。
手元には夜刀の柄もちゃんとある。
服は儀式の時と同じ。
大分汚れてるけど。
私はベットから降りて外へと出てみた。
ドアを開けると、目の前にはビルの様な建物が建っていた。
周りを見ると狭い裏路地みたいだ。
けどそんな路地裏も砂埃にまみれていて、道は瓦礫が散乱している。
見上げるとビルの間から空が見えたけど、ビルは上の方が崩れているみたいだ。
どうなってるの?
大通りとかもっと開けた場所に行けば何か分かるかな?
私は路地裏を抜けてみる事にした。
路地裏を五分程歩くと大きな通りが見えて来た。
ここに来るまでの間、人は誰もいなかった。
っというより、人が住んでる気配が無い。
途中途中の建物の窓は割れていたり、中は荒れていたり...
道も気を付けて歩かないと、ガラスや石につまづきそうだ。
どうなってるの?
大通りに出ると私は更に驚いた。
ビルや電信柱は倒壊し、道には瓦礫や割れた窓のガラスが散らばっている。
辺りからは煙がくすぶっている。
「−−っ!」
空は曇っていて、灰色の世界が広がっている。
まるで戦争でも起こったみたい。
「どうなって...いるの?」
なんでこんな事に...
倒壊した電信柱に『東京都』の文字が見えた。
「東京...?」
浩輔「朋美!!」
そう呼ばれて振り返ると浩輔が向こうからやってくる。
「浩輔、これはどうなってるの?」
浩輔「体は大丈夫なのか?」
「うん、もう何ともない。でも、これは...」
浩輔「とにかく、アジトに戻ろう。皆ももう帰って来る。皆が来たら説明するよ。」
「うん...」
−−−
ガチャ。
ドアを開けると一志がベットの上で起きあがっていた。
「一志!大丈夫?」
一志「ああ。ここは...?」
一志もどうやら混乱しているみたいだ。
浩輔「皆が帰って来たら説明するよ。」
一志「浩輔...。俺は...何だか長い夢を見ていたみたいだ。俺が禍津神で、皆と戦って、あとは夜刀が出て来て...」
「それは、現実だよ。」
一志「えっ?」
私は今まであった事を一志に説明した。
。