螺旋の森

□章間〜藤浩輔の章〜
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翌日ーー

俺はとりあえず学校にいる。

けど一限目はさぼった。

何となく、行く気がしなかった。

昨日の話で少し疲れたのかもしれない。

今は使われていない空き教室にいる。

窓を開ければ心地よい春の風が吹き抜けていく。

風の匂い、空の色……

俺の瞳に映る世界は昔とは違う。

けど、いつの世も人は同じだ。

己の宿命に嘆き悲しみ、時には人を恨み求め…、畏れる。

それは古の世から変わらない。

これが人の人としての宿命ーー

人はなんと脆く弱い生き物か。

人の生命(いのち)はまるで漆黒の闇に覆われているようだ。

闇のせいで宿命という業に気づかず、魔に飲まれあっという間に荒魂となってしまう。

全ては自身に打ち勝つ以外に無いというのに…

なんと愚かな生命(いのち)であろうか。

けど、そんな人に対する失望や絶望でさえ無意味な事の様に感じる。

俺は長い時を生き過ぎたのだ。

俺はふと広がる青空を見上げる。

俺はこれからもこんな世の中を長い時間を生きていかなければならない。

そんな事を考えながら、窓の外が眺める。





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