大伴一志の章

□第7章
2ページ/22ページ



ミーンミンミンミンミー。

ミーンミンミンミンミー。

残暑は厳しくまたまだ暑い日が続きそうだ。

あの後、30分くらい休んで始業式に間に合う様に教室へ戻った。

今日子は生徒会があって教室にはいなかったけど、始業式終了後には戻って来て私を見ると安心したみたい。

今はもう放課後だ。

始業式で早く終わった学校はいつもより静かだ。

私は今は教室で予定のあると言う浩輔を待っている。

始業式の後、浩輔が一緒に帰ろうと言ってくれた。

『一人で帰れる』って言ったんだけど、浩輔は『一人は危険だから』っと一緒に帰る事になった。

禍津神の力がここの所更に強くなっているらしい。

私もいつ狙われるか分からないのが現状だ。

いや、狙われるのは私だけじゃない。

この間は、禍津神は直接私を狙わずに葦津町の時間を止めてしまった。

私の家族や町や学校の皆が狙われたら…

そう考えると身震いがする。

今までは一志がこっそり守ってくれてたみたいだったけど...

「はぁ…」

今日、何度目かのため息を吐く。

あれからずっと、今日一日は一志と美和の事ばかり考えてた。(今もだけど)

一志と最後に話をしたのは、一志が部活で遠征に行っている時だ。

一志から電話をくれた。

お互いに“元気?”っというような会話をした気がする。

てっきり葦津町に着いたら連絡くれると思っていたけど、それは無かった。

それからだ、一志と連絡が取れなくなったのは。

今まではメールや電話にどんなに忙しくても返事をしてくれた。

私から連絡しなくても一志が連絡くれてた。

けど......

美和とはその頃から付き合い始めたのかな?

色々聞きたかったけど、どうやら一志には避けられている様で話が出来なかった。

美和とは何となく話したくなくて、私も目を合わせない様にしてた。

何で美和と?

どうして…

私だって、一志にもいつかはこんな日が来る事は覚悟していたつもりだった。

自分がどうかしていたんだ。

一志が近すぎて、本当は何も見えていなかっただけ。

特に最近は、同じ宿命にいると知って勝手に近くに感じていた。

今まで一志が側にいるのが当たり前で、いつだって見守っていてくれてたのが日常だったから。

『一志が好きになった女の子は私じゃない。』

そう思うと胸の痛みがくすぶり出す。

初めて知る胸の痛み。

私、一志の事が好きだったんだ。

ずっとずっと前から...。

…失恋して分かるなんて私って本当にバカ。








次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ