大伴一志の章

□第13章
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途中、保健室の前を通るとドアが開いた。

中からは保健の葛城先生が現れる。

宗史「おや?皆さんお揃いで。今から部活ですか?」

いつもニコニコしていて物腰の柔らかい先生だから、生徒からの人望も厚い。

浩輔はよく、「胡散臭い」って言ってるけど。

夜刀「ああ、宗史か。今から部活〜。」

怠そうに夜刀が答える。

「夜刀、“葛城先生”でしょ?」

浩輔「いいんだよ、こんな胡散臭い奴。」

「浩輔まで...。」

なんて失礼な生徒!

宗史「いいんですよ。それより明日は県大会でしたね?剣道の。」

夜刀「よく覚えてたな。」

県大会...?

あれ?そんな事、知らない...

宗史「これでも一様、剣道の副顧問ですからね。明日の大会は私も行きますから、頑張ってくださいね。」

どうしてだろう?

今日はさっきから変だ。

夜刀の事を“知らない男子”だと思ったり、普通なら覚えてる事が分からなかったり...

ホント、どうしたんだろう?

宗史「朋美さん、大丈夫ですか?」

「えっ...」

私は突然名前を呼ばれて、びっくりする。

夜刀「さっきから変だぞ?大丈夫か?」

浩輔「心配だなあ、大丈夫か?」

宗史「体調、悪いんですか?」

「ううん、大丈夫です。ちょっとぼーっとしてただけですから。」

私が答えると葛城先生は私のおでこに手を当てる。

冷んやりした手が気持ちいい。

宗史「熱は無いみたいですね。」

すると夜刀が葛城先生の手を払う。

夜刀「いつまでも触ってんな。」

宗史「おやおや、すいません。朋美さん、辛かったらいつでも保健室に来てくださいね。」

葛城先生は優しく言ってくれる。

「はい、ありがとうございます。」

浩輔「それもそうだけど、朋美。県大会の事、忘れてただろ?」

図星を突かれて、私はドキッとする。

宗史「それも部活終わりに顧問から話がありますから。」

「あ、はい。」

夜刀「今度はちゃんと覚えておけよ?」

「分かってるよ。」

宗史「そろそろ、先生が来るんじゃないですか?」

夜刀「そうだな、練習時間も減るし。」

私たちはとりあえず、葛城先生と別れて、剣道部の剣道場へと向かう事にした。









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