大伴一志の章

□第13章
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剣道場に着くと既に裕生くんが素振りの練習を始めていた。

流石、裕生くん。

裕生くんは真面目で、いつも誰よりも早く道場に来て練習を始めている。

一つ年下だけど、実力からいっても人柄からいっても次の部長は彼しかいない。

「流石、裕生くんだね!」

私は夜刀に話かける。

夜刀「...そうだな。」

夜刀の返事が冷たい。

どうしたんだろう?

私は不安になる。

「夜刀?」

夜刀「あ?何だよ?」

夜刀はめんどくさそうに言う。

「ううん、何でもない。部活、頑張ってね。」

夜刀「ああ。」

夜刀は冷たく言うと向こうに行って、準備を始めてしまう。

私もチラッと夜刀を気にしながら、マネージャーとして皆のサポートに回る。

一通りの練習が終わり、一時休憩になる。

私は皆にタオルを渡したり、水分補給の手伝いをする。

「裕生くん、お疲れ様。」

そう言って裕生くんにタオルとスポーツドリンクを渡す。

裕生「ああ、うん。」

裕生くんはいつも通り、素っ気なく言ってそれらを受け取る。

裕生「ねぇ、夜刀と何かあったの?」

「え?何もないけど...?」

裕生「本当に?今日の太刀筋なってないんだけど。」

「そう...かな?」

私には返って気合いが入ってる様に見えてたんだけど、裕生くんにはなってない様に見えたみたい。

裕生「何、あんなにイラついてんの?あんな太刀じゃ、勝負にならない。」

裕生くんはムスッとしている。

裕生「明日は県大会だって言うのに。」

だから、怒ってるのかっと私は理解した。

「でも何で私...?」

ふと疑問に思って聞いてみる。

裕生「夜刀が何かあるとすれば朋美しか理由が思い浮かばない。喧嘩でもした?明日までに何とかしておいてよ。」

裕生くんは捨てセリフの様に私に言って、練習へと戻って行った。

確かに、さっきから夜刀の態度が冷たい。

私、何かしちゃったのかな?









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