大伴一志の章

□第14章
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夕方、日が暮れる頃、裕生くんはと五瀬さんが戻ってきた。

ここは電気も通ってないみたいで、日が落ちると暗くなる。

かろうじて蝋燭がある。

浩輔「燃えろ。」

浩輔が術で蝋燭に火を付ける。

一志「それで、説明してくれるんだろ?」

浩輔「ああ、もちろんだ。封印の儀を行う為に封樹の森へ行ったのは朋美に聞いたよね?」

一志「ああ。俺は禍津神と同一の存在で、封印の儀で現れたのは俺の姿を模した禍津神と巨樹だったと。けれど、俺の身体は巨樹の中から出てきて、操られていた俺は皆を攻撃した...」

そう言って一志は眉毛を寄せて唇を噛む。

一志は私がさっき話した事を思い出す様に話をする。

けど、私は一志に手刀で刺された事は伝えていない。

目が覚めた時、一志に刺された傷は何処にもなかったし、一志はそれまでの話をした時、凄くショックを受けていたから。

苦しそうな顔をして何度も私たちに謝っていた。

一志はやはり春柘巫女が、五瀬春子が禍津神として現れたところまでしか記憶にないみたいだ。

あの時、五瀬春子が現れた時にもの凄く強い力に引っ張り込まれる感じがして後は分からないと言っていた。

浩輔「そうだ。それから直ぐ、白い光が辺りを包んで気づいたら禍津神と魔が消えていた。そしてお前らが倒れていた。」

裕生「朋美は血みどろだったけど、傷はどこにも見当たらなかった。」

もしかして夜刀が守ってくれたのかな?そう思った。

宗史「それから、私たちは貴方方をかついで別荘に戻りました。次の日、テレビで巨樹の事がニュースになりました。あんな巨木が突如現れたので、凄い騒ぎになっていました。それで私たちは貴方方を連れ、東京へと戻ってきました。けど、その時にはもう辺りは荒廃していました。」

裕生「禍津神の影響で土地が急激に痩せて、水も止まり草木は枯れた。当たり前だよね。空は一日中曇ってて日の光は当たらないし風も吹かない。」

浩輔「それから夕暮れになると魔が辺りに徘徊し始める様になったんだ。きっと今も外は魔が辺りにウヨウヨしているはずだ。こんな時に一般人が外に出ると魔に襲われてしまい、しばらくすると荒魂になってしまうんだ。」

「え?でも魔は自分の内なる生命から起こるんじゃ...?」

浩輔「禍津神が力をつけて具現化した今は、魔が内なる生命だろうと外からの影響だろうと、何処からでも起こってくる。現に、ある地方都市では内乱が起こった。」

「っ!そんな...」

裕生「だから俺たちはそれを浄化して回っていたんだ。」

宗史「こんな状況になって、人々は今は政府の方針で国外へ避難しました。」

「それで誰もいないんですね?」

宗史「ええ、一部の人間は残ってる人もいるみたいですが。」

一志「それで、被害は日本だけなのか?」

稜一朗「今のところは、だな。」

「今のところ?」

稜一朗「そうだ。我々が東京に戻って来た時は荒廃していたのは東京近郊だけだった。しかし、今は日本全国が荒廃している。これから、この地球が荒廃していく。そして人々の生命には疑心、嫉妬、憎しみ、そんな生命ばかりが起こりこの世界は戦争や争いばかりになるだろう。」

「そんな...」

裕生「でも、まだ大丈夫。」

「...?」

裕生「朋美がいる。」

「っ?私がいても役に立たないよ...」

稜一朗「そんな事はない。お前の中にある力が増してるのを感じる。」

宗史「そうです。最近、私たちも荒廃を止める為に魔と戦ったり浄化していますが、力が漲ってくるのを感じるのです。」

それは...

三宝四神器は一体の存在、私の力が増せば皆の力も増す。

そういう事なのかな?

浩輔「そこで、明後日に儀式を行おうと思う。」

儀式...

浩輔「禍津神の浄化、やってみるか?」

「えっ...?いいの?あんなに反対していたのに。」

浩輔「あれから皆で話し合ったんだ。五瀬からも話を聞いた。あの時は俺らが悪かった。巫女である朋美を迷わせてしまった。」

宗史「まだ誰も成功者はいませんが、我々が初めてになりましょう。」

「皆...」

私は皆の視線を受け止める。

1人1人が決意をした目をしている。

「はい!!」

私は元気よく皆に返信をした。

きっと出来る!

今度こそは−−−

そう思った。







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