螺旋の森

□第3章
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今日子「お願い!朋美の力を貸して!!」

私はある日今日子に突然お願いをされた。

「え?」

今日子「明日からの3連休、うちにバイトに来て!」

「バ、バイトって…?」

今日子「私の家、ケーキ屋さんなの。」

「それは知ってるけど...」

今日子「実はお店をリフォームしてお店でケーキを食べられる様にしたんだけど、今までバイトに来ていた人が胃腸炎になっちゃったみたいで急に来れなくなったの。しかも明日オープンなのに。朋美お願い!バイト代は弾め無いけどケーキ、沢山食べていいから!三日間だけ!本当にお願い!」

「うん、分かった。いいよ。」

今日子「本当?ありがとう。助かる!よし!あと、1人」

「今日子、あと1人欲しいの?」

今日子「うん。オープンだからね。」

「美和は?」

今日子「美和は法事があるんだって。」

「そうなんだ。じゃあ、一志に聞いてみる?」

今日子「えっ!?本当?ありがとう朋美!助かる!困った事があったら言ってね!私、絶対力になるから!」

「大袈裟だよ、今日子。」



「っていう訳なの。」

一志「……」

私達は3人仲良く下校中だ。

最近は藤くんも一緒に下校する事が多くなった。

藤くんは葦津駅より2つ手前で降りるけどそこまでは一緒だ。

一志が部活の時には時々藤くんと2人で帰る事もある。

「だから一志も一緒にどお?バイト。」

一志「俺、土日は試合なんだけど。」

一志は不機嫌に答える。

藤くんが一緒に帰る様になってからなんだかずっとこんな調子だ。

藤くんの事、苦手なのかな?

でも私は二人共、実は仲がいいと思っているんだけど。

なんか似てるんだよね、二人。

二人して同じ事言ってたり、同じ様なもの好きだったり…

好物の食べ物なんかはかなり似てる気がするんだけど。

なのに、ライバル心剥き出しに言い合いする事がある。

あぁ〜、もしかして同族嫌悪ってやつ?

「やっぱりそうだよね?」

私ががっかりしていると藤くんが

浩輔「俺は空いてるけど?」

っと助け船を出してくれた。

「本当?いいの?」

浩輔「もちろんいいよ。朋美がご褒美くれるなら。」

「ありがとう!ケーキ、いっぱい食べていいって今日子が言ってた。」

浩輔「ケーキも魅力的だけどさぁ、朋美からのご褒美が欲しいなぁ。」

「私からの?」

浩輔「例えばデートとかどう?」

「で、デート?」

浩輔「そう。来週なんかどう?」

何て会話していると一志が突然ぽつりと言った。

一志「月曜日!」

「え?」

一志「月曜日は俺が行く。」

なんだ!結局一志もケーキ食べたいんじゃない。

まぁ、三日間ずっと藤くんにお願いするのも悪いし、月曜日は一志にお願いしよう!

「うん!じゃあ、土日は藤くんで月曜日は一志ね!本当にありがとう。きっと今日子も喜ぶよ!」

二人とも本当にありがたいなぁ。

そう思いながら、私は足を踏み出す。

一志「藤、お前とは絶対に、デートさせない。」
浩輔「一志く〜ん、俺と朋美の邪魔、しないでくれる?それとも何?一志は朋美に彼氏を作らせないつもり?」
一志「なっ!違う!お前みたいにチャラチャラした奴には任せられないだけだ!」


ふと気づくと二人が周りにいない。

後ろを振り返ると一志と藤くんが何やら後ろで顔を向い合わせて話をしている。

「一志〜!藤くん〜!電車来ちゃうよ〜!」

私が呼ぶと二人はハッとしてこっちへ駆けつけてきた。

「二人共、何の話をしてたの?」

浩輔「いやぁ、男同士の話だよ。な?一志」

そう言って藤くんは一志の肩を組む。

一志「......」

「ふ〜ん」

ほら。

やっぱり、なんだかんだで仲いいんだよね。

もっと表でも仲よくしたらいいのに。

なんて思いながら、私は駅へと向かった。















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