小指ぶつけた

□悩んだら取り敢えずやってみろ
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『最近よく見掛けるなぁ。』

こんにちは、7日前に伊達政宗公との遭遇を果たした花子です。
7日前の遭遇を境に妙に政宗公を見掛けるようになりました。

今日もたった今働いている甘味屋に来て、ずんだ餅を頼んだ所です。
(流石に会話(注文)は本日で合計二度目だ。)

あの日を境に毎日、政宗公を見掛けます。

(彼は暇なのだろうか。)

確かに城下といっても店が集まっているのは一部だが、1週間毎日見掛けると言うのはおかしい話だ。

『お待たせいたしました。ずんだ餅にございます。』

「あぁ、Thank you。」

『……。(そんな話し方したらバレるんじゃないだろうか。)』

「あぁ(Thank youじゃわかんねーな。)、ありがとな。」

『あ、いえ、では失礼致します。(ヤバい、ボーッとしてた。)』

ペコリとお辞儀をすると私は急いでその場を離れた。


(久し振りに英語聞いたなぁ。カタカナもしくは活字が恋しいや…。)

休憩に入った私はさっきの政宗公との会話を思い出し感傷に浸っていた。

毎日、学ぶ事ばかりで元いた世界の事を考える暇がなかった。

いや、私はいつ帰れるともわからないあの世界を、忙しくする事で考えないようにしてただけだ。

『もう3ヶ月と1週間か。』

私が此処に来てからもう3ヶ月と1週間。
そろそろ向き合わなきゃいけないだろう。
この世界にもあの世界にも。

もしかしたら来たときと同じようにいつの間にか戻るかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
今は何一つ分からないけれど調べる事で何か解る事があるかもしれない。
手段としては、街の人に聞いたり、書物で調べてみることだ。
最終手段としては政宗公に探りでも入れてみよう。
武将相手に探りなんて言っても大層な事は聞き出せないだろうが、私は政宗公以上に情報を持っていそうな人を知らない。
幸い出没スポットはこの1週間でたまたまだが把握した。

『よしっ!』

「花子さん戻って来て頂戴!」

『はい!今いきます。』

ウダウダ悩んだ所で今出来る事は限られている。

(だったら今私に出来る最善を尽くすだけだ。ファイトだ花子!)





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