neta

□ぶきっちょ物語
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月がニヤニヤ見守る真夜中
一人の男が闇の中を駆けていた
男は左腕の部分が妙に細く真っ直ぐだった
小道を抜け、一瞬大通りに出た男は月明かりに全身を照らされた
男の左腕からは刀が生えていた


「人切りニゾウですね。あなたの魂頂きます。」

どこからかアルトボイスが聞こえ一つの影が動くと、路地に逃げ込んだ男の体が二つに分かれた



******





「あ!ソラさんよ!」
「いつ見ても、格好いいわよねぇ〜。」
「ハルヒサさんと話してる時のほんわかした感じもいいわ〜。信頼しきってるって感じが。」

廊下を並んで歩く二人は遠目からチラチラと受ける視線を気にもせず、歩いていく

「これで魂90個目。」
「あと、九つの悪人の魂に一つの魔女の魂でデスサイズだな。」
「やっとここまで来たね。後もう少しだ。」
「ああ、気を引き締めていかないとな。」

2人が角を曲がろうとした時、後ろから声がかった。

「お!ハルヒサにソラじゃねぇか。」
「こんにちは、ソラ、ハルヒサ。調子はどう?」
「ああ。昨日、90個目の魂を刈ってきたとこだ。」
「こんにちは。マカにソール。君達は?」
「今、間違えて猫の魂食べてリセット!最悪!」
「coolな俺としたことが飛んだ間抜けをしちまったぜ。」
「そうか。それはたいへんだったね、お疲れ様。」
「ありがとうソラ。そうい「ブラック☆スター参上ー!!!」
「マカちゃんごめんなさい!皆さんもすみません!」
「Bigな俺様の存在感は消せねー!悪ぃな雑魚ども!!!」
「マカチョォプ!」
「(まじでコイツは学習しねぇよな。)」
「ぐべら!てぇめぇマカ!ぶっ殺すゾ!」
「ブラック☆スター。例え子供でも女性に手を出すようなら私が相手になろう。」
「ソラ。ひとまず、落ち着け。」
「怒ってくれるのは嬉しいけど、トドメなら自分で刺す。」
「そうか。なら手を出すのは野暮だね。」
「それよりもソラ!てぇめぇ俺様よりもBigになろうとしてるみてぇだな!残念だがそれは無理だ!俺様よりBigになれるのは俺様だけだからな!神も崇めたてる俺様だけだ!」
「そうだね。ブラック☆スターには(馬鹿さ加減で)勝てる気がしないよ。」
「そうだろ!なんたって俺様だからな!」
「「「(褒め言葉じゃない(でしょ/だろ/のよ。ブラック☆スター))」」」
「……。」
「ええ、凄いですね。凄い凄い。さて、ハルヒサ帰ろう。用も済みましたし。」
「「「(やっつけ感丸出し!)」」」
「あ、ああ。そうだな。」
「ああ、そうだハルヒサ。今度皆でバスケやろうぜ。」
「ああ。また、日が決まったら教えてくれ。」
「バイバイ!ソラ、ハルヒサ。」
「じゃあな。」
「ごめんなさいソラくんハルヒサさん。お休みなさい。」
「いえ。ではまた明日。」
「ああ。じゃあまたな。」

ソラとハルヒサは四人に手を振ってその場から離れていった。

死武専から歩いて30分ほどの場所に黒屋根の一軒家が見える。木でできた扉には小さな丸い窓がついていて窓の奥はモスグリーンのカーテンがかかっている。

「ただいまー。そして、おかえりハルヒサー。」
「ソラ、夕飯作ってる間にテーブルとリビングの片付けをしといてくれ。」
「はーい。」

ソラは唯一散らかっているといえるダイニングテーブルの上にあるお菓子や新聞を入っていたバスケットやボックスに戻した。
テーブルが綺麗になるとソファーに置いてあった本を手に取りそのままそこに寝転がる。

「(ソロモンの指輪か。ちょっと面白そうだよな。)」

手に取ったのは、かつて72もの悪魔をいのままに操り、魂を狩っていたという伝説の指輪職人ソロモンの書いた日記についてかかれた本だ。

「悪魔とか面白いよね。」

本に集中しだしたソラは夕飯が出来上がりリビングに戻って来たハルヒサに本を取り上げられるまで黙々と読み進めていった。
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