□やっぱり好き
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眠くて学校に行くの嫌だなぁって思いながらいつもの通学路を歩く。息が白くて、つめたくなった鼻の先。

「もうすっかり寒くなっちゃったね〜」

そう言うと友達はぶるっと小さく身を振るわせたから、
「マフラー、貸そっか?」
って言ったら
「ふふ、大丈夫。相変わらず優しいんだから、ネームは」
そう言われたから少し照れくさくなって私も微笑んでしまう。
そうやって学校に着くまで私達は寒さなんて忘れるくらいいっぱい笑った。






急いで校内に入るとさっきまで白かった息も見えなくなっていた。

ふと、職員室に入ろうとした蓮実先生を見つけたので私は思わず友達をおいてけぼりにしたまま蓮実先生の所まで駆け寄った。
「はっ 蓮実せんせ〜い!」
少し控えめ手を振り、先生の名前を呼ぶ。

「Good morning! ネーム」
そう言って先生は私の頭を犬を撫でるようにくしゃくしゃにして撫でる。
太陽みたいに素敵な笑顔の蓮実先生。

「ちょっと〜!ネーム〜〜!置いてかないでよー」
「あっ、ごめん!忘れてた」
「ネーム酷い〜・・・ってハスミン!」
友達は私の横からひょいっと顔を出して蓮実先生を見た。
気づかなかったのだろうか・・・
「Goodmorning!」
「おはようございま〜す!」
「今日も元気だな〜」

そう笑って私の頭からそっと手を離し友達の頭をぽんぽんと叩く。
「あっ そうだ私先輩と企画の相談あるからごめんっネーム、先行ってるね!」
「うん、分かった。また後でね」

私もそろそろ教室に行こう、そう思ったとき一瞬鼻がむずっとし、すぐくしゃみが出た。
「っくしゅん!」
ちょっと恥ずかしくなってハッと先生の顔を見たら眉をハの字に下げて心配そうに私のことを見ていた。
「風邪か?」
「た、たぶん・・・。昨日お風呂から上がった後髪生乾きのままで寝ちゃったので・・・」
「そうか・・・・」

ぴたり、と額に自分より少し高い体温の手の感触があたる。
もしかしなくともこれは蓮実先生の手だ。しかも気のせいかさっきよりも蓮実先生の顔が近い。
「うーん、熱はなさそうだな」
「〜っ・・・」
顔がすごく熱く感じる。
胸に手をあていなくても心拍数がいつもより速くてどきどきしてるって分かる。
この数秒間がすごく長く感じて、目が合う度にかっこいいなぁって思う。

「・・・・ネーム、大丈夫か?」
「! っはい、大丈夫です!!」

とっさにそう答えたら蓮実先生は「そうか、お大事にな」って微笑んで職員室に入っていった。

明日もまた会いたいな、

なんて思ってしまった私はやっぱり蓮実先生のことが好きなのかもしれない。



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