くろいばら

□すきの回数
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蓮実先生と猫山先生の甘い話。猫山先生がちょっと乙女です。








「猫山先生、少し手を止めてこっち向いてください。」

渋々と作業中の手を止め、不本意ながらも蓮実先生を見つめるとにこにこと笑顔をはりつけて顔を近づけてくる。

「・・・・・・ん、」

またか、と深く唇を重ねられながらそう思う。
最近蓮実先生からキスを求められる回数が日に日に増していっているように感じる。数ヶ月前に気持ちを告げられ、私も嫌いではないと返した時は数回だったのに今や短時間に数十回ものキスを求められるようになった。おかげで作業が進まない。

「日々上手くなってきてますね、キス。」
「そりゃあ蓮実先生が一日に何度もしてくるから嫌でも上手くなりますよ。」

蓮実先生は近くにあった椅子に座ると目を細めて私を見つめていた。
でも別に蓮実先生のキスは嫌じゃない。むしろ校内なのでもしかしたら誰かに見られたかもしれないというスリルがぞくぞくして楽しい。もっとこのぞくぞくを味わってみたいとも思う。そしてキスより先のことも、

「・・・・・・はぁ、」

ぼーっとしていたがふっと我に返る。蓮実先生のことを考えていると全く作業が進まない。数ヶ月前からこんな調子ではため息もでる。黒く血のこびり付いたメスをぽいと投げ捨て、椅子の背もたれに体重をかける。

「ため息なんてついてどうしたんですか?何か悩み事でも?」
「別に悩み事なんてないでーす。ため息の理由は蓮実先生が一番分かってると思うんですけどねえ」
「私が、ですか」
「もしかして私が何を言いたいのか分かってますよね?」

わざとらしく眉を下げてわからない、とでも言いたそうだった。この男はどうしても私の口から言わせたいのか・・・。結局蓮実先生に何を言っても無意味なので観念して重い口を開く。

「・・・・・してください。」
「何をです?」
「その、」

いつも言ってしまう言葉の間伸びも、緊張なのか恥ずかしさのせいなのか何なのか分からないが言えなかった。

「キスより先のこと、してください。」

その言葉を聞いた蓮実先生は私を長椅子に座らせ、耳元で甘く優しい声で囁いた。

「その言葉、ずっと待ってたんです。」
「うひひひ・・・・・蓮実先生でもそんな事考えてるんですねえ」
「ふふ、そんな事、ですか。私だって猫山先生の事好きなんですからこんなこと考えててもおかしくないですよ。」

そう言ってさっきより長くて深いキスをする。ゆっくりと押し倒されると蓮実先生のごつごつしてて厚い手が私のしわだらけのシャツのボタンを外していく。




「猫山先生、ちなみに今までしたキスの回数覚えてますか?」
「・・・・覚えてるわけないじゃないですかー」

本当は今までしたキスの数も覚えてるなんて死んでも言わない。
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