くろいばら

□殺す理由は単純で
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蓮実先生と猫山先生の甘い話。蓮実先生が嫉妬したり病んでます。





最近、猫山先生とある女子生徒が一緒にいるのを見かける。
授業が終わって真っ先に生物準備室へ向かうと中から会話が聞こえてきた。周りに誰も居なかったのでひっそり壁際に立って聞き耳を立てる。

「あ、あの・・・・・猫山先生、この鳥ってなんていう名前の鳥なんですか?」
「これはオナガでーす。この水色の翼と長い尾がすごーく綺麗なんですよ」
「本当、綺麗ですね。それに小さくて可愛いです」
「可愛い、ですか・・・・私にはよくわかりませーん」

ふふ、と上品に笑う女子生徒の声が聞こえる。猫山先生が他の人と話してる姿はあまり見たことがないので珍しいなと思った。

「そ、それで、あ、あの実は・・・・猫山先生、私・・・・猫山先生のこと・・・・・・」

まさか。そう思った時丁度授業開始のチャイムが鳴る。

「あ・・・・す、すいません!また来ます!」

急いで教室に戻ろうと女子生徒が勢いよく生物準備室から出てくる。何故か頬が真っ赤だった。わざとぶつかってみせると驚きの声を小さく漏らした。

「わっ!・・・・あ、蓮実先生・・・・!ぶつかっちゃってごめんなさい!」
「大丈夫か?急ぐのはいいけどは怪我するなよ」
「はい、ありがとうございます」

小さくお辞儀をすると急ぎ足で廊下を駆けて行く。可憐な雰囲気で長い黒髪が似合う女の子だった。
走り去った女子生徒を見送った後、なるべく音を立てずに生物準備室へと入る。
そこにはいつもと変わらず机に向かい標本を作りに没頭している猫山先生がいた。

「今の子、猫山先生に気があるみたいですよ」
「へえ、そうなんですか」
「そういうのには興味はないんですか?」
「ん〜 ありませんねえ。他人が私の事をどう思おうと私にとってはこいつらの方が大事でーす」

猫山先生は棚一面に飾ってある骨格標本をうっとりと目を細めて見た。

「うひひひ・・・・!やっぱりこの標本が私的に見て一番美しいと思うんですよねえ」

ガラスの上から愛おしそうに標本を細い目を更に細めて指先でなぞる。
その姿を見てるとだんだん胸中で黒い何かが渦巻いているような感じがした。

「猫山先生、そんなにそれが大事ですか?」
「え? うひひひ・・・・もちろんですよー」
「私よりも、ですか」

言ってしまってからしまった、と思った。これでは自分の気持ちが一方通行してるようだ。
猫山先生はうーんと少し考えると口の端を上げて口を開いた。

「蓮実先生と同じくらい、では駄目ですかー?」

゛蓮実先生「より」゛ではなかったのが少し残念だったが、「同じくらい」でもどのくらい大事に思っているのか十分分かる。

「いえ、゛同じくらい゛で十分ですよ。私も猫山先生が思ってる以上に大切に思ってるんですから。」
「うひひ・・・・・蓮実先生がそう言ってくれるなんて嬉しいですねえ。てっきり私だけが一方通行してるのかと思ってました。」
「だからあの女の子の告白、ちゃんと断ってくださいね?」

猫山先生の耳元で息を吹きかけるように囁く。少し不思議そうに首を傾げてこちらをじっと見つめる。

「・・・・もちろんですよー」
「ありがとうございます。」

心の底からの笑顔を見せて猫山先生の手首を掴み寄せ自分の胸の中に収める。
ああ、でもあの女子生徒、断られても影で猫山先生のこと見てそうだな。それはいけない。俺以外の奴にそういう目で見る権利はない。だったら殺すしかない。殺そう。でもどうやって殺そうか。そうだ、

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