09/15の日記

21:02
脱色・一護・白一護成り代わり
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気が付いたら白一護になっていた夢主と一護のお話。

目が覚めると、何故か青空と重力無視なビル壁の足場の空間に居た夢主。

病的なほどに白い自分の腕と、その場に居た黒い男に既視感を覚え、そう間をおかずにそこがどこだか理解した夢主。

同じく、自分が白一護になってしまったことに気付き、思わず途方に暮れる。

(白一護が居ねぇと、一護が成長しねーじゃん…。)元の世界では病弱な夢主、困難にぶつかり強くなっていく一護は憧れで励ましだった。



他にどうしようもなく白一護を演じることにした夢主は、原作通りにことを進めていく。

上手く一護を動かして、斬月を互いに利用して、─己の、正確には白一護の体までも使って。

入院生活と自宅しか経験のない夢主にとって、動く体は違和感の固まりで、“利用できる”ものでしかなかった。

現実だろうと夢だろうと、夢主には関係なかった。

いつ重い病気を併発してもおかしくなかった夢主にとって、目の前に現れてくれた一護は全身全霊を傾けられる存在だった。

躊躇無く限りなく原作の白一護に近い存在を作り出しつつ、夢主は一護の精神世界で存在していくはずだった。



けれどある日、外の─つまり、精神世界の外に─具現化できてしまった。

(…どういうこと?)単に白一護が外の世界に興味がなかったのか、自分が白一護になった弊害か。

とにかく、自由に外に出られることに気付いてしまった夢主は、するつもりのなかったコンタクトまでとってしまった。

(必要以上の介入は、白一護を、そして何よりも一護を崩壊させてしまうかも…。)

戸惑う夢主であったが、それでも、やはり一護が目の前に居ることが嬉しく、けれど白一護としての自分を崩すわけにはいかず。

ふと思いついたので中途半端ですが投下。



(白一護の健康な、力強い体。

彼がどこにいってしまったかなんてわからないから、オレはオレに出来ることをしなくちゃ。

奪ってしまった代償として、動ける体をくれたお礼として。

なのに、こんな、…計算外だ。



“己の内の敵”ほど、素晴らしい壁はないのに─。)










メモ



蒼い空。

無機質な世界。

触れられるようになったそれらは、確かにそこに存在してた。



(…誰も、理解なんてしてくれないだろうな。)



これは、オレの願望だろうか。

大好きだった漫画の、登場人物になってるだなんて。

─自由に動かせる体を持てた、なんて。



(息切れしない。

心臓も痛くならないし、変な痺れもない。



…“体”って、こんなに軽いものだったんだ。)



冷たいビル壁に寝そべって、一人きりの世界。

正確にはもう一人いるのだけど、最近は姿を現さない。

彼への対応には困るから、それはそれでとても有り難い。

“白一護”がどんな風に接していたのか、全くわからないわけでもないけど…漫画に載ってなかった間のことは、想像するしかないから。



空に手を伸ばしてみれば、透けるように白い己の腕。

けれど、以前とは比べものにならないくらいに力強い腕。

白イコール華奢と思っていたけど、全然そんなことはない。

─この病的に白い腕から放たれる、悪意の固まりをオレは知っている。



(…今、どこら辺だろうなぁ。)



いずれ、オレは消える。

一護が死神としての力を失うところまでは読んだ。

そこから先は、こっちに来てしまって覚えていない。

─あの場面でおそらく、白一護は消えてしまったように思う。



だって、白一護は一護の力そのものなのだ。

それが消えてしまったってことは、多分そういうこと。



(…それまでは、白一護の役割…演じきらないと。)



その先はわからない。

けれど多分、あの先にも白一護は出てくるのだろう。

その時はそのとき。

今は─、



「…一護…。」



泡を纏《まと》ったような声は、けれど、聞いたことのないくらいに落ち着いている。

─頑張るよ。

内なる敵を、ちゃんとやりきってみせるから。



心地の良い眠りも、思いっきり動き回れる感覚が楽しいのも。

きっと今が、充実しているからだ。



オレはキミの力、キミはオレの宿主。

いつ死んでもおかしくなかったオレが、人のために何か出来るなんて。

苦しくなんてない、痛くなんてない─…ううん、それらすら愛おしい。



ああ、でも、それでも。



─キミと、もっと違う風に触れ合いたかったって言ったら、“本物”は怒るだろうなぁ…。










中編向きですね。

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