キセキの少女
□第04Q-練習試合-
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「海常高校…ってここ、だよね。」
"海常高等学校"に着いたのはいいものの、体育館の場所が分かっていなかった。
「ねぇ、そこのお嬢さん、」
お嬢さん?今時そんな風に話しかけてくる人がいるとは、どんな人なのか。
「聞いてる?どーしたの?校門の前に突っ立って。」
「校門の前に突っ立って…ってあたしのこと?」
「そうだけど、君以外誰がいるの?他校生だよね。オレでよかったら力になるよ、っていってもそんなに時間がある訳じゃないからずっとは無理なんだけどね」
切れ長な目をした所謂イケメンの部類にはいるであろうひとに声をかけられた。もしかしたら、ここで会えたのも運命かもしれないと、呟いていた彼には少し引いていたが。
でも、場所が分からなくて困っていたのは事実であったから、
「体育館、の場所を知りたいんですが、」
「へ?体育館?」
「?そう、ですけど、バスケ部の試合を見に来たんです。い…友人に誘われて。」
「そうなのか!何て言う運命…じゃなかった。じゃあ、そこまで案内してあげる。」
「でも、悪いですよ?」
「いやー、オレもちょうどそこに行こうとしてたからさ。気にしなくていいよ。行こうか、こっちだよ。あ、ちなみにオレ森山って言うんだ。君は?」
「柊です。」
「愛歌さんか、よろしくね。」
体育館は、二つあるんだよね。1つはバレー部とかの室内競技のやつらが使ってる体育館。ほらあそこの体育館がそうなんだ。うち運動部に力入れてるからさ、設備は整っているんだよね。
体育館へ向かう最中、この海常高校について教えてくれていた。体育館が二つあること、
「んで、もう1つは、ここのバスケ部専用の体育館。ちなみにバスケ部は今日試合なんだよね。相手は誠凛っていうはじめて聞く名前の高校なんだけど、やるからには本気でやるか「おい、森山ァァーーどこで油売ってんだよ!早く来いっ!!!!!」
「やばっ!!!笠松キレてらぁ…。じゃあ、オレ行くね。好きなところで見学していってよ、オレでるからさ、最後まで観ていってくれると嬉しいな♪」
「は、はあ…」
ただただ見届けることしか出来なかった愛歌だった。
その頃の森山は
10秒もしないうちに言い切った彼はすぐに体育館のなかに入っていった。と同時に1人の男子、キャプテンである笠松に蹴られていた。
森「ごめん!笠松!ちょっと遠くに行き
すぎてたわ。って痛い!」
笠「テメーが来なかったら、相手を待たせちまうだろーっがっ!」
森「人助けしてたんだよ!可愛い女の子に、だっ!」
笠「どーせまたもナンパだろーが、」
森「違うぞ、笠松。困っていたからここまで道案内をしてあげていたんだ。たぶんどこかでみてると思うぞ。バスケ部を観に来たっていってたから。」
笠「聞いてねーよ。つーか、お前誰でもよさそーな風だからもてねーんじゃねえの?」
笠松がげんなりと言った台詞に、生き生きと話していた森山の表情は一瞬泣きそうな切なそうな顔をしたようだった。
森「そ‥‥こ‥‥ない‥」
笠「森山?」
森「なにもないさ。だから、いつも以上に張り切らないとな!って言おうとしただけだ。」
笠「いつも、張り切りやがれ!」
そうこうしてるうちに試合が始まった。