キセキの少女

□第07Q-拒絶と迷い-
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「俺たちのマネージャーをやってくれないかな?」

「え?」

真剣な表情になったのかと思えばそんなことを言い出した。昨日の今日で、まさかこんなことを言われるなんて誰が予想できたのだろう。少なくともあたしには予想できなかったから聞き返すことしか出来なかった。

「だから、俺たちのマネージャーをやってもらえないかな?」

2回目、今度は困ったような気まずそうな表情をしてそう言った。彼らがどんなに真剣にバスケに向き合っているのかは見ればわかった。でもだからこそ、どんなに聞かれても答えは決まっているんだ。

「嫌だ。」

「‥っ」

「悪いけど、あたしはもうバスケに関わりたくはない。だから‥」

諦めて。という言葉は彼により遮られた。

「‥でも俺たち、ホントにIH,WCと優勝を目指してるんだよ!そのためにも他にも経験者とかからのアドバイスも聴きたい。昨日のプレーを見てわかった、君はただ者じゃないって。なんでバスケをやってないのかは俺にはわからないけど、柊さんなら監督にはわからない、やっていたからこそ言える部分もあると思うんだ。だから「だからこそなんだよ」‥え?」

「というか、なんでやってないのか
は聞かないだね。」

「それは今聞くべきことじゃない気がしてさ。マネージャーをやって、距離も深まってから改めておしえてほしいなって」


「そっか。じゃあ、ずっと聞けないままだね。だってあたしは入る気もマネージャーをやる気もないから。」

「っ‥」


「昨日も言ったけど、君たちがどれだけ真剣にバスケに向き合っているのか、IH優勝を目指しているのかなんて見ればわかる。でもだからこそ、君たちが真剣に取り組んでいるからこそ、その誘いは受けれない。君たちにあたしは釣り合わないから。」

そう、こんな中途半端な気持ちで君たちに向き合うことなんてできない。君たちが真剣だからこそ、こんな逃げてばっかりの自分は釣り合わないんだよ。


「釣り合わないって‥」

どういうこと?伊月は呟くようにそう言いかけた。なぜ言いかけたのかは他の生徒の声がしてきたから、彼が言うのをやめてしまったからだ。ある意味ナイスタイミングと言うか、彼からしてみればバットタイミングなのだろうけど。


「ふっ。他の生徒が来たみたいだね、忘れ物でも取りに来たのかな。さ、この話は終わりだ。あたしも暇じゃないしね。早く帰らないと。」

「待っ‥」

「何を
言われても意見を変える気はないよ。‥‥こんなあたしでもサポートしたいって思わせるようなことがない限り」

そう言ってあたしは教室を出た。なにか言いたそうな彼に背を向けて。

あんなこと言う自分は少し甘いのかな、あんなにもバスケには関わらないと決めて、そのためにここに来たのに。‥もう一押しされたらすんなりOKしてしまいそうな自分がいて怖いと思った。というか、あれではすでにやってもいいよと言ってるようなものじゃないか‥


もしこれを受け入れたら、あたしも前に進めるのだろうか‥


「バスケ部マネージャー‥‥か‥‥」


その声は誰にも届かずに消えていった。
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