□〜第1章〜 Ark
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    〜第1章 Ark〜

彼女こそ…私のエリスなのだろうか…?



いつからそうだったか…なんて覚えてない。
たぶん、そんなことはどうだっていいんだ。

だって、現在{イマ}此処に在る2人の愛は本物なのだから…
そうよね? お兄様…?



朝、陽の光と共に目を覚ます。
少女は、隣に居るはずの人物がいないことに気がつく。そっと触れてみると、布団はまだ温かい。

「お兄様…?」

少女は寝室を出て、"その人"の姿を探す。冬場なので肌寒さがすぐに少女の華奢な身体を冷やした。
板張りの廊下をぬけたその先にあるベランダ…そこに目をやった少女は安堵の笑みを浮かべた。

少女の探していた"その人"の姿がそこにはあった。明け方の空を1人眺めている。
少女は背後からそっと近付き、腹のあたりに手をまわして抱きついた。
「おぉ、おはよう。ソロル。よく眠れたかい?」
「えぇ、フラーテルお兄様。でも、目が覚めたら隣にいないんだもの…。ひどいわ…」
妹の拗ねたような口調、尖らせた唇を見て、兄は柔和な笑みを浮かべる。
「ごめんごめん。朝日が綺麗だったものだから…」
しゃがみ込み、視線を合わせて妹を抱き締めた。
「さぁ、寒いから中へ入ろう。」


今日も変わらぬ一日の始まり。
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