サイボーグ

□最終話
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ウゥーーン…

ウゥーーン…

αタワー中にサイレンが鳴り響いた。

「何事ですかっ!?」
レックスが走り回る警護班の一人に訪ねた。
「何者かがタワー内の設備を破壊しまくっているんです!」
「被害状況は?」
「想像もつきません!
凄まじい勢いで破壊されています!
破壊現場を見た者は、その人間離れしたスピードについていけず、破壊されるのを見るだけで、犯人を目で確認する事すらできない様です。」
「まさか…。」
レックスは嫌な予感がした。
「そんな事ができるのは……。」
レックスはヴィンセントが拘束されている部屋へと向かった。
………。
「そんな…バカな…。」
レックスは面会室から部屋を覗き込むと、膝から崩れる様に座り込んだ。
タッタッタッ!
ガタンっ!
「あっ!
レックス君!
お兄ちゃんは!?」
景斗も駆けつけてきた。
「この中を見てください。」
レックスは力なく声を出した。
景斗は部屋を覗き込んだ。
そこには巨大な穴が開いていた。
「お兄ちゃん…。」
景斗は心配そうな顔で、その穴を眺めた。
「脱出の為の破壊なら、壁だけで良かったのではないでしょうか……?
何故機械設備まで破壊しているのでしょうか…?」
「お兄ちゃんのやる事には、いつも意味があるから、お兄ちゃんを信じようよ。」
「破壊行為に意味ですか?
理解出来ません。」
パチーンっ!!!
景斗は有無を言わさず、レックスの頬を叩いた。
「あんたに友達を作る資格なんてない!
レックス君はお兄ちゃんの友達じゃないのっ!?
頭で考えてわかんない事でも、友達を信じる事は出来るでしょっ!!!」
景斗は今までにない勢いで、怒鳴った。
「信じているからこそわからないんです。」
「わからないなら聞けばいいじゃない!
まずは会って話さないと、何もわかんないよ!
もしかしたら暴走してるかもしれないし、もしそうだったら、私たちが止めてあげないと!」
………。
しばしの沈黙…。
「そうですね。
全てあなたの言う通りだ。
ヴィンセントさんを探しましょう。」
レックスはそう言うと、力強く立ち上がった。
「その必要はないよ。」
面会室の入り口に、男だか女だか判断しがたい容姿の人影が現れた。
「どういう事ですか?
あなたは誰ですか?」
「ひどいなレックス…僕だよ…イランさ。」
「イランっ!?
姿を変えていたらわかりませんよ。」
「ねぇねぇ誰ぇ?」
景斗はレックスに訪ねた。
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