サイボーグ

□第2話
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「ヴィンセント…」
もうろうとする頭の中で、おれを呼ぶ女の声がした。
「誰だ…?」
「私はエディー…
あなたは力を欲していますね?」
これは夢なのか?
おれは自分の状況は全くわからなかったが、質問に答える事にした。
「その通りだ。
おれはサイボーグを超える力が欲しい。」
「あなたが私の2つの望みを叶えてくれるのであれば、あなたにその力を与えましょう。」
なんなんだよいったいっ!?
目の前も見えず、体の感覚もない…ただ意識だけがはっきりとあった。
「あんたの望みってなんだ?」
「一つはこの国を救ってもらいたい。
もう一つは、私の娘を救ってもらいたい。」
国…?娘…?
「国を救うってのはどうゆー事だ?
あんたの娘はどんな状況下にある?」
おれは最低限必要な質問をした。
「………」
しかし答えはかえってこなかった。
「わかったっ!
どんな状況かはわかんねーけど、あんたの娘さんはなんとかしてやる。
でも国を救うってゆーのは、おれのやるべき事が終えた後に、やれるだけの事をやるとしか、約束はできねー。」
「…わかりました。それでいいでしょう…」
と、そこまで声が聞こえると、おれは目を覚ました…。

夢か?
おれは体を起こし、辺りを見渡した。
そこは8畳程度の部屋で、病室のようでもあるが、人一人が生活できる部屋にもみえる。
おれは自分の寝ていたベッドから、下りようとしたが、体が奇妙な感覚にとらわれ、ベッドから落ちてしまった。
「痛てて…」
違和感を感じつつも立ち上がり、少し部屋を歩いた。
顔を洗おうかと思い、部屋の隅に設置してある洗面所の前まで行った。
顔を上げ鏡を見たおれは、驚いた。
「なんだこれっ!!?」
髪の毛の色が藤色になっていたのだ。
…いや、おかしいのはそれだけではなかった。
目の色も藤色になっており、顔もどことなく、自分の顔じゃないような奇妙な感覚にとらわれた。
プシャー
エアーの抜ける様な音とともに、この部屋のドアが開いた。
「あー屋上で会ったおばさん!」
開いたドアから、屋上で会った白衣の女性と、おれと同い年ぐらいの女の子が入ってきた。
「あなた…そこまで一人で歩いたの?」白衣の女性は驚いた様子でおれに訪ねてきた。
「へ?
そうだけど…
それよりあの後どうなったんだ?
あの女子高生は無事なのか?
あれから何日たつ?」
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