サイボーグ

□第7話
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おれは部屋へと戻り一息着いた。
気が付くと、戦闘で受けたダメージが殆どなくなっていた。
…自己修復したのか?…
自分の体ながら、何も知らないな…
プシャー
「お兄ちゃんお疲れ様ぁ〜」
ドアが開き景斗が入ってきた。
頬や手の甲などに、傷を手当てした後があった。
正直驚いた。
あんな事があったすぐ後に、平然としている景斗に…。
いや…平然としているフリか…
手にはカルテの様なものと、ペンを持っていたが、その手が小刻みに震えているのが見てとれた。
やはりさっきの余韻が残っているようだ。
「お兄ちゃんが強いのは解ったけど、もっと手加減を覚えなきゃダメだねぇ〜。」
恐らく景斗は、さっきの検査結果を伝えに来たのだろう。
あんな怖い思いをした後でも、何も無かったかのように仕事をこなしている。
「手加減か…景斗、ちょっとこっちに来いよ。」
景斗はおれに言われるがまま、近づいてきた。
「手加減の練習だ。」
バチンッ!
おれはそう言って、景斗の頬を叩いた。
「痛テテテ。
痛いなぁ。
私で試さないでよぉ。」
そう言いながらも、景斗はテヘっと笑ってみせた。
プシャー
鈴とレックスが部屋に入ってきた。
…が、おれは見向きもせずに、景斗を見据えていた。
「あなた達何やってるの!?」
おれたちの様子がおかしい事を察した鈴が訪ねてきた。
「何でもないよぉ。」
「何でもなくねーだろっ!」
景斗の答えに間髪入れずにおれは声を上げた。
一瞬景斗の体がビクッと反応した。
おれは景斗の腕を掴み、ベッドへと押し倒した。
景斗が手にしていたカルテの様な物とペンが飛び散った。
「ちょっと何やってるのっ!?」
鈴が声を上げたが、おれは無視した。
おれはベッドに倒れ込んでいる景斗にまたがり、胸ぐらを掴んだ。
「どうしたのお兄ちゃん?
ちょっと変だよぉ。」
そう言って景斗は苦笑いを浮かべた。
「おめぇーさっきから何笑ってんだよっ!?
痛いなら笑ってねーで痛がれよっ!
怖いなら素直に怖がればいいじゃねーか!」
「ちょっとやめなさい!」
鈴がおれの体を掴み、景斗から引き離そうとするが、おれの体は微動だにしなかった。
………。
しばしの沈黙…。
景斗は両手を目に当てた。
すでに景斗から笑顔は消えていた。
おれは景斗の背中に手をまわし、優しく体を起こした。
「痛いよっ!
痛いじゃないか!」
景斗は悔しそうな悲痛な表情で、ポカポカとおれの胸を殴ってきた。
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