サイボーグ

□第9話
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「本当にあのお二人と仲が良いですねぇ。」
景斗と鈴が出たのを確認すると、レックスが話しかけてきた。
「まぁ慕われて悪い気はしねぇよ。」
「うらやましいですね。
僕も慕われてみたいものです。」
支店長といっても、あまりちやほやされないのが現状なのだろう。
ましてやこの若さだと、憎まれる事の方が多そうだ。
「しかし3連休とは思い切った事したな。」
「はい。
まずは体を休めてもらう事から始めようと思いまして。
調べてみると、休みの日に休みをとってない方があまりに多いんですよ。」
「しかし勝手に休みにしたんじゃ、上が黙ってないんじゃないのか?」
上とは、もちろんΩ社本社の事だ。
「いちをこのタワーの事は任されていますので、本社からは何も言われないんですが…このタワーの幹部の方々からの風当たりは厳しくなってしまいました。」
「まぁいつの時代も正しい奴は、最初は憎まれるもんだよ。」
「そうですね…。
今は自分を信じて突っ走るしかありません。」
昨日まで、自分に自信がなく、おれに物怖じしていた奴のセリフとは思えなかった。
「あっ、そう言えば渡すものがあったんですよ。」
レックスはそう言うと、胸ポケットからカードを取り出した。
「なんだこれは?」
おれはそれを受け取り、レックスに訪ねた。
「マネーカードです。
外での活動中に役立てください。
活動費が毎月振り込まれますので、自由に使ってください。
今日から正式に、あなたを機密捜査員として任命します。」
「本当か!?
だったらいつでもこのタワーを出てもいいのか?」
「名目上構いませんが、出発は10日後にしてください。
それまでにみっちりとサイボーグの知識を身につけてもらいます。」
「それもそうだな…一人での行動になるから、知識は完璧なほど身に付けといた方がいいな。」
しかし10日は長いなぁ。
おれはため息をついた。
「しかしあなたがいなくなると心細いですねぇ。
なんとか一人でも、このタワーを変えてみせますが…。」
レックスは自信なさげに言った。
「お前なら大丈夫だ!
それにお前一人だけじゃないぞ、このタワーの事を気にかけてるのは。


「え?
誰ですか?
その方は協力してくれるでしょうか?」
「ああ、協力してくれると思うぜ。
しかしあいつは自分なりに必死に考えて行動しているが、自分の事を二の次にしすぎるとこがあるからな…あんたにはその辺をフォローしてもらいたい。」
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