サイボーグ

□第10話
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その日の夜、鈴の言った通り、彼らはやって来た。

ボフッ!!!

妙な音と共に、おれの部屋の壁に直径2メートルぐらいの穴がいきなり空いた。
そしてその穴から、目が細く髪が耳元まである170センチぐらいの男と、こちらも目が細く…というより目を閉じている、ツインテールの130センチぐらいの女の子が入って来た。
「部屋間違えたんじゃないのか?」
男が女の子に向かって話した。
「多分間違いないと思うよ。」
「そうか…。」
と言った瞬間、男はおれの背後に周り込み、腕を押さえた。
「部外者を巻き込みたくないんだ。
少し眠っててもらうよ。」
男はそう言って、何かをしようとした。
「まだ寝るには早すぎるぜ。」
おれは一瞬で腕を絡めとり、2メートルほど間合いをとった。
「ほぅ…。
エリー、木刀を出してくれないか。」
「え?
戦うの?
無意味に争っちゃダメだよ。」
木刀?
女の子は小さなリュックを背負ってるだけで、木刀なんて持ってる様子はなかった。
「彼が戦いたそうだから、少し相手をするだけだよ。」
「もう、しょうがないなぁ。」
女の子はそう言うと手をかざし、何かブツブツとつぶやきだした。
すると次の瞬間、女の子の手のひらから、木刀が出てきた。
いや…出てきたというより、手のひらの何もないところから、突然現れたみたいだった。
これが科学でも解明出来ないって能力か。
「シンクロ率85%か。
悪くない数字だ。」
男はそう言いながら、木刀を受け取り、構えた。
「おれのシンクロ率はあてに出来ねーぞ。
状況に応じて、変化するからな。」
相手は95%か…。
ラキスやフリット以上なうえに、Eタイプの能力付きか。
しかしおれは、サイボーグを越える能力を持っているはずだ。
Eタイプであろうが、相手がサイボーグである以上、負けないはずだ。
いや…おれはサイボーグに負ける訳にはいかない。
「ほぅ…それは楽しみだ。」
と言った瞬間、男は一気に間合いを詰めてきた。
「僕が武器を持ってることを、卑怯だなんて思わないでくれよ。」
上段から降り下ろされた木刀を紙一重で交わしたが、すぐに下段から降り上げられた木刀の先に体がかすった。
「これが僕の戦闘スタイルなんでね。」
おれはすぐにしゃがみこみ、下蹴りをしたが跳んで交わされ、上から木刀が襲ってきた。
避けきれないと判断したおれは、木刀を右手で掴んだ。
「くっ!」
男が小さく声をあげた。
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